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2005年Vol.6 No.3

論文

A型,B型の鑑別が可能なインフルエンザ迅速診断キット改良型「ポクテムインフルエンザA/B」の評価

著者

高橋 和郎*1, 加瀬 哲男*1, 森川 佐依子*1, 岡本 健治*2, 浜本 芳彦*3, 馬場 宏一*4, 奥野 良信*1

*1 大阪府立公衆衛生研究所 感染症部
*2 岡本医院 
*3 浜本小児科
*4 医療法人宏知会 ばば小児科

Summary

A型,B型の鑑別が可能なインフルエンザ迅速診断キット改良型「 ポクテムインフルエンザA/B 」について基礎的および臨床検体を用いた性能を評価した. その結果,改良キットは現行キットに比べ発色強度が向上し,判定に必要な所要時間が短縮されていることが確認された. 市販の5種のキットを対象に,A,B型のワクチン株を用いた検出感度の比較では,同等あるいはやや優れた感度を示した. また,改良キットは現行キットと同様に,すべてのHA亜型ウイルス( 27株 )とB型ウイルス( 5株 )に型特異的に反応し,これら以外の21種のウイルスや25種の細菌類とは交差反応性を認めなかった. インフルエンザ様症状を示した患者からの臨床検体計281検体を用いて,市販キットAを対照に結果の相関性を検討し,A,B型ともに両キット間に高い一致性を認めた. 同じ臨床検体を用いて,ウイルス分離との相関性を検討した. 3種( 鼻腔吸引液,鼻腔拭い液,咽頭拭い液 )の臨床検体において,改良キットはA型,B型ともに高い感度を示した. 特異性も全般に高い値を示したが,一部の場合においては,改良キットで陽性,ウイルス分離が陰性の検体がみられ,やや低い値を示した. しかし,これらの不一致例を nested RT-PCR法 で確認したところ,すべての検体で型特異的にウイルス遺伝子を検出し,改良キットの結果が偽陽性でなく型特異的に正確に検出していることが判明した. 以上より,改良キットは感度,特異性ともに他の市販キットと同等か,やや優れた性能を有し,臨床領域でのインフルエンザの迅速診断法として有用であると考えられる.

Key Words

インフルエンザ, 迅速診断キット, イムノクロマトグラフィ, ポクテム