Sysmex Journal Web ※このコンテンツは医療従事者向けです

2004年Vol.5 No.3

論文(転載)

末梢血血小板減少患者における未成熟血小板分画( IPF )の評価

著者

Carol Briggs*1, Stefan Kunka*1, Dan Hart*1, Shinichiro Oguni*2, and Samuel J. Machin*1

*1 Department of Haematology, University College London Hospital
*2 シスメックス株式会社

Summary

アップグレードしたソフトウェアを搭載した多項目自動血球分析装置XE-2100 ( シスメックス社 ) を用いて,網血小板を未成熟血小板分画( Immature Platelet Fraction : IPF ) として測定する信頼性の高い自動定量法が,新たに開発された. IPF は,フローサイトメトリー技術と網赤血球/光学的血小板チャンネルでの核酸の特異的染色により同定される. 末梢血血小板破壊の亢進による血小板減少症,特に自己免疫性血小板減少性紫斑病( AITP ) 及び血栓性血小板減少性紫斑病( TTP ) の臨床診断におけるこのパラメータの臨床的有用性が確立された. 再現性及び48時間保存での安定性は良好であった. 健常人におけるIPFの基準範囲は1.1 ~ 6.1%であり,平均値は3.4%であった. 血小板破壊が異常と思われる患者を検討対象とし,また,このうちの2症例については,治療経過を追跡調査した. IPF は,いくつかの病態で上昇が見られ,AITP患者( 9.2 ~ 33.1%,平均22.3% ) 及び急性TTP患者( 11.2~ 30.9%,平均17.2% ) では,最も有意な上昇が認められた. 治療経過を追跡した患者では,血小板数が回復するとIPF%が低下することが証明された. これらの結果より,この迅速かつ安価なIPF%自動測定法は実用に耐えるものであり,血小板減少患者の評価における標準的パラメータとすべきであることが示された.

Key Words

網血小板, 未成熟血小板分画, XE-2100, 自己免疫性血小板減少症紫斑病, 血栓性血小板減少症紫斑病

Note(s)

*本稿は,ブラックウェルパブリッシング株式会社の許諾を受け, British Journal of Haematology Vol.126 Issue 1, 2004より翻訳・転載いたしました。