Sysmex Journal Web

2004年Vol.5 No.1

論文

薬毒物検査における乱用薬物検査キットTriage の有用性

著者

奈女良 昭, 屋敷 幹雄, 西田 まなみ, 木村 恒二郎

広島大学大学院 医歯薬学総合研究科 法医学

Summary

救急医療現場等において適切な治療を行うには,原因が何であるかを迅速に判断する必要がある. また,患者の症状とともに,化学物質や薬毒物の関与が判明すれば,治療方針を決めるうえで有用な情報となることがある. 一般の化学物質検査に使用されている機器分析からは,感度や精度の高い結果は得られるが,その結果が得られるまでには数時間を要し,結果を治療に生かすことは困難である. 分析結果を治療に生かすには簡便で迅速な薬毒物検査が要求される.

乱用薬物検査キット Triage( Biosite, San Diego, California, USA )は,簡便かつ迅速で,特別な機器を必要としない尿中薬物スクリーニングキットであり,救命救急や法医学,裁判化学分野での薬毒物検査に汎用されている. Triageでは,「 覚せい剤取締法 」,「 向精神薬及び麻薬取締法 」,「 大麻取締法 」等の法律で規制されている薬物の検査が可能である. 検出原理は抗原抗体反応を利用したものであり,8種の薬物群( フェンシクリジン類( PCP ),ベンゾジアゼピン類( BZO ),コカイン系麻薬( COC ),覚せい剤( AMP ),大麻( THC ),モルヒネ系麻薬( OPI ),バルビツール酸類( BAR ),三環系抗うつ薬類( TCA ) )の検査が可能である. その反面,反応すべきでない薬物にも反応して擬陽性を示す場合があり,結果の解釈に注意を要することも指摘されている. 本稿では我々が検討してきた Triageの有用性と注意点について触れる.

Key Words

Triage, 乱用薬物, スクリーニング