Sysmex Journal Web

2002年Vol.3 No.2

論文(転載)

私の臨床検査史2 — わが国における精度管理の歩み—

著者

河合 忠

国際臨床病理( ICP ) センター 所長
自治医科大学 名誉教授

Summary

ISQCは,International Symposium on Quality Control,精度管理に関する国際シンポジウムの略称であって,わが国では臨床検査分野の専門家の間では長い間親しまれてきた国際会議である.

ISQCが初めて開催されたのはスイスのジュネーブで,1967年に開催された The First International Symposium on Quality Control in Clinical Chemistry である. 以前にも触れたように,世界で初めて管理血清を市販したのは,米国フロリダ州デイド郡マイアミ市にあった Dade Reagents, Inc.( 後に,American Hospital Supply Corporation( AHSC )の傘下に入り,現在の Dade-Behring社に合併された )であり,世界にマーケットを拡大しつつあった. 当時のDade社はーロッパではドイツのメルク社と合弁のMerk + Dade社を通じて商品を提供していたが,ドイツの社員の発案で ISQCがスタートしたとのことである. 熱心な検査室で実施されていた内部精度管理手法が,漸くヨーロッパでも広く普及し始めていたことから, Merk + Dade社が全面的に支援して,この分野での著名な専門家を招いて国際シンポジウムを開催しようということであった.

当時,キューバ国はカストロ政権に移り,共産主義を掲げた革命政府が誕生していたので,自由を求めて多くの有識者及び裕福な人々が米国に亡命しはじめていた. その中の1人で,キューバの大学病院病理学主任を務めていた Guillermo Anido 博士がマイアミ市に移住し,Dade社の学術部長をされていたので,Anido博士とロンドンの聖マリア病院の化学病理学者( Chemical Pathologist )で世界的に著名な臨床酵素学者であったSidney B. Rosalki 博士が中心になってISQC-Genevaが計画された. 第1回ISQC-Geneva の組織委員長は Anido博士が務められたが,第2回以降はRosalki博士が学術組織委員長として,1977年に開催された第7回ISQC-Genevaまで会の発展に大きな功績を残された.

Note(s)

*本連載は国際試薬株式会社のLAB-TOPICS Vol. 22 No. 3 July 2001 (通巻83号) ~Vol. 23
  No. 2 April 2002 (通巻86号) に掲載されたものをまとめたものです.
*前号Vol.3 No.1からの続きです.