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2002年Vol.3 No.1
論文岸 浩司, 角山 功, 落合 浩二, 渡津 吉史
シスメックス株式会社 試薬開発本部
従来のHDL-コレステロール濃度測定法は,遠心操作が伴うため自動化されていなかった. そこで,我々は本測定の効率化を図り,完全自動化に対応したHDL-コレステロール測定キット( HDL-C試薬・KL「コクサイ」 )を開発した.
本法では,硫酸カリクス[8]アレン,非イオン界面活性剤( HLB= 18 以上 )及びクロモバクテリウム属由来のコレステロールエステラーゼ( CE )を用いてHDL-コレステロール濃度を測定する. すなわち,HDL中のコレステロールエステルはCEの作用でコレステロールと脂肪酸に加水分解される. このコレステロールはNADの存在下でコレステロール脱水素酵素( CDH )の作用でΔ4-コレステン-3-オンに酸化される. このとき同時に生じるNADHを測定し,人血清由来のキャリブレーターで描いたキャリブレーションカーブからHDL-コレステロール濃度を求める. 本試薬の性能を日立7170 形自動分析装置を用いて,試料4μL, 第一試薬180μL, 第二試薬60μL, 測定波長340/570nmとした2ポイントエンド法で確認した. コントロール血清( HDL-CコントロールM )を用いた日差再現性( n = 20 )は,変動係数が1.2 %( 52.4 mg/dL )となった. 高HDL-コレステロール試料( 血清 )を用いた定量性の確認試験で,150mg/dL まで原点を通る直線性が得られた. 試料中に共存する還元性物質( ビリルビン,アスコルビン酸,ヘモグロビン等 )は,測定結果に影響しなかった. 健常人の血清( n = 53 )を用いたCenters for Disease Control and Prevention( CDC )の比較対照法との相関性は,良好で回帰式: y = 0.94x +2.50mg/dL,相関係数: r = 0.998 となった.
今回開発したHDL-コレステロール測定キットは汎用の自動分析装置に適応できる有用性の高い試薬である.
HDL-コレステロール, ホモジニアス法, CDH-UV法
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