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2012年Vol.35 Suppl.2

論文

全自動尿統合分析装置 UX-2000 を用いた尿路感染症スクリーニングの有用性について

著者

山口 一剛, 宇木 望, 池田 弘典, 川崎 誠司, 永沢 善三, 太田 昭一郎, 末岡 榮三朗

佐賀大学医学部附属病院 検査部

Summary

UX-2000 ( UX-2000;シスメックス社 ) は尿定性試験と有形成分測定を一つの装置で行う全自動尿統合分析装置である.今回,フローサイトメトリー法を用いた細菌数測定から迅速に尿路感染症 ( 以下,UTI ) を推定することについて,および細菌スキャッタグラムの表示パターンによる菌種推定の可能性について,細菌学的検査との比較により検討した.

結果,細菌陽性とするカットオフを 1.0 × 10/mL とした場合の UX 法と定量培養法の一致率は89%であり,UTIの診断確率は感度94%,特異度85%,一致率89%であった.また,スキャッタグラムパターンによる菌種推定において,グラム染色鏡検の結果との一致率は,球菌で62%,桿菌で87%,複数菌で73%であった.

よって UX-2000 の細菌数の情報は細菌培養検査が必要か否かのスクリーニングとして,細菌スキャッタグラムの表示パターンによりある程度の菌種推定ができることについて,それぞれ有用性が示唆された.

Key Words

UX-2000, スキャッタグラムパターン, UTI