Sysmex Journal Web ※このコンテンツは医療従事者向けです
2012年Vol.35 Suppl.2
総説金子 一成
関西医科大学 小児科学講座
尿蛋白排泄量の評価は,慢性腎臓病 ( Chronic Kidney Disease: CKD ) の診断,治療効果判定,経過観察において,小児,成人を問わず極めて重要である.最近では,蛋白尿の有無は心血管疾患,メタボリック症候群の危険因子としても注目されている.
尿蛋白排泄量の評価は通常24時間蓄尿で行われるが,外来患者では実施が難しい.また手技がやや煩雑で,15~30%もの検体が不完全蓄尿であり,検査に適さないという報告もある.特に,自律排尿の確立していない乳幼児においては,入院患者でも蓄尿は不完全になりやすい.一方で,随時尿の蛋白濃度による尿蛋白量の予測は,尿量や尿の濃縮・希釈により,測定値が大きく左右される.
このような蓄尿や随時尿の尿蛋白濃度測定の欠点を補うものとして,尿蛋白濃度と尿クレアチニン濃度を測定し,蛋白/クレアチニン比 ( 以下,P/C 比 ) を求め1日尿蛋白排泄量を推定する方法が1980年代から報告され,外来診療において用いられている.これらの報告はいずれも定量法によるものであるが,近年,P/C 比が半定量的に推定できる尿検査試験紙が開発・販売されており,わが国を含め,成人においてその有用性が報告されている。しかし,小児の腎疾患における有用性の報告は,筆者らのものを除くとほとんど見あたらない.
そこで,本稿では小児のCKD の診断と管理における尿検査試験紙を用いた半定量P/C 比 ( 以下,試験紙P/C 比 ) の有用性について,自験成績を交えながら紹介する.
小児, 慢性腎臓病, CKD, 早朝第一尿, 尿蛋白/クレアチニン比, 尿検査試験紙
このコンテンツは、日本国内の医療関係者(医師・看護師・検査技師・栄養士・薬剤師など)の方に当社商品に関する情報を提供することを目的としています。
日本国外の医療関係者および一般の方に対する情報提供を目的としたものではございません。
あなたは医療関係者ですか?