Sysmex Journal Web

2011年Vol.34 Suppl.1

論文

尿路感染症診断に用いる尿沈渣作成時の遠心力の違いが血球および細菌に与える影響

著者

小林 とも子, 村谷 哲郎, 高橋 綾, 美那元 勇希, 小野 文誠

株式会社キューリン 検査部

Summary

尿沈渣鏡検は,さまざまな腎・泌尿器系疾患の推定のために,赤血球,白血球,上皮細胞,円柱,細菌,真菌,原虫,結晶を観察することにより行われる.日本臨床検査標準協議会の「尿沈渣検査法2000」では,500g × 5min 遠心後の沈渣を使用すると定められている.この遠心力では細菌の集菌のためには十分ではない.細菌検査室ではグラム染色鏡検を実施するが,この際の沈渣作成については特に決められた方法はない.細菌検査で塗抹グラム染色を実施するにあたり,単純性尿路感染症の有意菌数である10 cfu/mL を捉える必要があるため,沈渣作成時の遠心力の検討を行った.細菌検査室では細菌,真菌および白血球が観察可能であればよいので,通常の尿沈渣よりも高速,長時間遠心が可能である.本検討は,細菌検査に最適な遠心時間検討のための予備実験として,沈渣ではなく,遠心後の上清の残存数で評価した.今回検討した結果においても,500g × 5min では細菌の集菌は不十分であることが示され,少なくとも1,400g × 10min の遠心が必要であることが示された.

Key Words

尿沈渣, グラム染色, 遠心力, 尿路感染症, 細菌検査