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2022年Vol.23 No.1
学術セミナー野上 恵嗣
奈良県立医科大学 小児科 教授
第44回シスメックス学術セミナー講演の説明資料です。(2022年6月4日(土)開催)
セミナーの詳細につきましては上記リンクよりご確認ください。
血友病の診断は血液凝固第VIII (IX) 因子活性値に基づき行われる。本活性はAPTTによる凝固一段法で測定されるが,活性値から見た重症度と臨床症状が相関しない症例もしばしば経験する。血友病医療で課題であるとなっている同種抗体 (インヒビター) 出現時の止血モニタリングも困難である。さらに血友病治療薬は革新的進歩を遂げているが,製剤により正確な凝固能を測定できないことがあり,従来のAPTT-baseのモニタリングに限界がある。そこで止血凝固機能を評価するための包括的凝固機能測定が発展してきている。中でも凝固波形解析 (CWA) は通常のPTやAPTT測定反応系のフィブリン形成過程における血漿試料の透過度変化をモニタリングし,凝固全過程を凝固波形として描出することができる。データをコンピューター解析し,本波形とパラメータから凝固動的過程の定量的評価が可能となった。凝固測定機器のイノベーションが,血友病患者の凝血学的評価をより正確に反映することを可能とし,現在,血友病医療の向上に繋がっている。
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