Sysmex Journal Web ※このコンテンツは医療従事者向けです

2021年Vol.22 No.3

製品紹介

多項目自動血球分析装置XRシリーズの概要と特徴

著者

仲井 里枝, 林 文明, 賈 宇, 浜口 佳子, 吉本 倫子

シスメックス株式会社 学術本部

Summary

近年,医療技術の進歩に伴い,診断や治療に関わる臨床検査の分野では,多彩な情報を迅速かつ正確に提供できるスクリーニング検査の役割が重要視されている。そのような状況において,分析装置による測定の自動化に加え,採血管の仕分けや到着確認,再検など,測定前後のオペレーションについてもオートメーション化が進んでいる。これらのオートメーション化により,ヒューマンエラーだけでなく,業務の工数も低減することができ,血液検査担当者は顕微鏡での形態検査など,より高い技術が求められる専門業務に集中し,十分な時間を費やすことができる。

このような臨床検査分野の技術進歩の中,当社は2011年に多項目自動血球分析装置XNシリーズ (シスメックス株式会社:以下,XNシリーズ,シスメックス) を発売した。XNシリーズでは,後述のPLT-FチャンネルやWPCチャンネルなどの新たな測定チャンネルや測定モードを備え,それらをフレキシブルに組み合わせることが可能である。また,ユーザビリティの観点では,自動再検機能や濃縮試薬の導入など,業務の効率化,およびTAT短縮にも貢献してきた。

今回,さらなる臨床的価値およびユーザビリティの向上を実現した多項目自動血球分析装置XR シリーズ (シスメックス:以下,XRシリーズ) を発売した。本製品は従来製品に備わっている測定チャンネルや測定モードなどの高スペックな機能を維持しながら,本邦においては,新たに幼若顆粒球 (Immature Granulocyte:以下,IG),幼若血小板 (Immature Platelet Fraction:以下,IPF),HPCモードにて算出される造血前駆細胞に相当する粒子 (Hematopoietic Progenitor Cells:以下,HPC) が測定項目となり,診断,治療方針の決定への信頼できるデータの提供が可能となっている。また,曜日・時間を予め設定しておくことで,装置の立ち上げおよびバックアップが自動で実行される機能も搭載された.以下,XRシリーズの概要について紹介する。