Sysmex Journal Web

2021年Vol.22 No.2

論文

全自動血液凝固測定装置 CN-6000 における活性化部分トロンボプラスチン時間キット レボヘム™ APTT SLA の基礎的検討

著者

下村 大樹*1, 河野 紋*1, 高田 旬生*1, 高田 章美*1, 上田 香織*2, 熊野 穣*3, 嶋田 昌司*1,
上岡 樹生*1

1 公益財団法人 天理よろづ相談所病院 臨床検査部
2 シスメックス株式会社 大阪支店
3 HYPHEN BioMed, SAS

Summary

新たに発売された活性化部分トロンボプラスチン時間キット レボヘムTM APTT SLA ( シスメックス株式会社:以下,Rev,シスメックス ) の基礎的検討を行った。同時再現性,日差再現性,オンボード安定性は結果に問題なく,ロット間差は十分に小さかった。136検体を用いて設定した基準範囲はRevが活性化部分トロンボプラスチン時間キット トロンボチェック APTT-SLA ( シスメックス:以下,TC ) より短縮傾向を示した。凝固因子感受性は,希釈試験 ( in vitro ) でRevはTCより第Ⅴ因子,第VIII因子,第IX因子,第X因子および第XII 因子における低濃度域の感受性が高かった。臨床検体 ( in vivo ) による各種凝固因子低下検体は,第VIII因子活性1%未満13検体においてRevがTCより延長傾向を示した。第VIII因子インヒビターの感受性も同様であり,Revは第VIII因子の低濃度域に対する感受性が高いことが示された。肝合成能低下検体の感受性は,Rev がTC に比べ凝固時間に有意な短縮を認めたが,健常人ボランティア35検体の平均値とのratio は同等であった。ループスアンチコアグラント ( Lupus Anticoagulant:以下,LA ) の感受性は,RevがTCに比べ有意に延長し,希釈ラッセル蛇毒時間 ( dilute Russellʼs Viper Venom Time:以下,dRVVT ) ratio との相関性も良好であり,LA に対する高い感受性を示した。未分画ヘパリンの反応性は,in vitro でRevがTCに比べ濃度依存性に著しく延長し, in vivo でもRevがTCに比べ延長傾向を示した。 in vivo in vitro よりも乖離が小さかったが,未分画ヘパリン血中濃度が0.3U/mL を超えるとき,ratio はRevがTCに比べ約1.2倍高値を示した。直接経口抗凝固薬 ( Direct Oral Anticoagulants ) の反応性は,ダビガトラン服用検体で2試薬の凝固時間の相関性が良好であり,いずれの試薬とも濃度依存性に同等の延長傾向を示した。一方,直接第Xa因子阻害薬であるリバーロキサバン,アピキサバン,エドキサバン服用検体は各血中濃度とAPTTに相関性を認めなかった。アルガトロバンの反応性は,RevがTCに比べ凝固時間,ratio ともに短縮傾向を示した。ナファモスタットメシル酸塩への反応性は,RevがTCに比べ凝固時間,ratio ともに延長傾向を示した。以上の結果より,Revは併行精度が高く,ロット間差が非常に小さいデータ管理に適した試薬であり,LAならびに低濃度の凝固因子低下 ( 特にVIII因子 ) を検出しやすいことが示唆された。しかし,TCと反応性が異なる薬剤があり,特に未分画ヘパリンは血中濃度が0.3U/mLを超えるとTCとの乖離が生じることに留意し,試薬の切り替えにあたっては自施設で試薬間のデータを比較し,事前に臨床側に周知を行うことが重要である。

Key Words

活性化部分トロンボプラスチン時間 ( APTT ), 合成リン脂質, エラグ酸, CN-6000