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2021年Vol.22 No.1
学術セミナー山下 智也
神戸大学大学院医学研究科 内科学講座 循環器内科学分野 准教授
第43回シスメックス学術セミナー 講演の説明資料です。
近年、腸内常在細菌叢が、様々な疾患の発症や増悪に関連することが示され、腸内細菌を疾患の発症予測や治療標的として利用しようとする研究が世界中で進められている。循環器領域でも、腸内細菌研究がなされ、コリンの腸内細菌代謝産物トリメチルアミンNオキシド(TMAO)の血中濃度が高い人は、心血管イベントの発生が多いことが報告されている。
我々は、臨床研究にて、生活習慣病コントロール患者に比較して冠動脈疾患患者で有意に減少している Bacteroides vulgatus と Bacteroides dorei という2菌種を見出した。この2菌種を動脈硬化モデルマウスに経口投与すると、血中・糞便中のグラム陰性桿菌の毒素リポポリサッカライド(LPS)の活性が低下し、抗炎症作用を示すとともに動脈硬化が抑制できた。ヒトでも、この Bacteroides 2菌種の存在比率が高い患者は、糞便中LPS活性が低いことがわかった。本2菌種に着目した動脈硬化性疾患予防法の可能性を検証しており、紹介したい。
Cardiovascular Disease, Trimethylamine N-oxide, Bacteroides, Lipopolysaccharide
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