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2021年Vol.22 No.1

学術セミナー

メタゲノム科学によるヒトマイクロバイオームの生物学・医学的インパクト

著者

服部 正平

東京大学 名誉教授

Summary

第43回シスメックス学術セミナー 講演の説明資料です。

人体には約1,000種、数十兆個の微生物が生息している。近年、メタゲノム科学(細菌を分離・培養せずに生息する微生物群・叢のゲノム・遺伝子配列を丸ごと取得する方法)と超高速な次世代シークエンサー(NGS)を組み合わせることで、ヒトの腸内、口腔、皮膚等の微生物叢(ヒトマイクロバイオーム)のゲノム情報を網羅的に収集することが可能になり、その情報学的解析からヒトマイクロバイオームの生態学的・生物学的な全体像が遺伝子・ゲノムレベルで明らかになってきた。その結果、例えば、これまでの想像を超えて腸内細菌叢が消化器系、代謝系、神経系等の全身的な疾患と密接な関係にあること等が明らかとなって来た。さらに、その生態的・機能的な多様性は食事、投薬、年齢、宿主の遺伝的背景等の様々な内的・外的要因が影響することも分かってきた。本セミナーでは、ヒト=超生命体という概念のもとヒトマイクロバイオームの生態と機能について解説する。

Key Words

Microbiome, Metagenomics, Bacteria, Sequencing, NGS