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2000年Vol.1 No.1

論文

SE-9000およびR-3000を用いた末梢血幹細胞動員時における造血幹細胞採取時期の指標の検索 — フローチャートとスコア化の試み—

著者

岡田 恭孝*1,3, 安藤 学*1, 新海 佳子*1, 萩野 真子*1, 伊藤 妙*1, 大屋 春治*1, 加藤 武俊*1, 大熊 攻*1, 森島 泰雄*2

*1 愛知県がんセンター病院 臨床検査部
*2 愛知県がんセンター病院 血液化学療法部
*3 現所属:愛知県立尾張病院 中央検査部

Summary

末梢血幹細胞移植のための造血幹細胞を効率的に採取することを目的として, 末梢血幹細胞採取のための指標をSE-9000およびR-3000を用いた日常血液検査で見出し, 採取時期を予測するためのフローチャート作成および採取量を予測するためのスコア化を検討した.

非ホジキンリンパ腫で多剤併用療法Bi-CHOPにG-CSFを併用した症例を対象として, 末梢血幹細胞動員時のCD34陽性細胞と血液細胞の動態を経時的に観察した. その結果を基にフローチャートを作成した. 即ち, 化学療法に伴うnadirの後, R-3000でHFRが4%を越え, かつ白血球数と単球数が条件を満たした時を採取時期とした. この予測採取日と実際のCD34陽性細胞数のピーク日を比較検討したところ84.0%が一致した.

また, 採取液中のCD34陽性細胞数の多寡を予測するためのスコアは, CD34陽性細胞数との相関を基に, 血液学的パラメーター, 即ち幼若顆粒球を基準にし, 単球数, 血小板数, 白血球数及び赤芽球数を加え配点を設定した。本スコアは, ポイント数とCD34陽性細胞数に正の相関を認めた.

Key Words

末梢血幹細胞移植, 非ホジキンリンパ腫, CD34陽性細胞, 血球分析装置, SE-9000, 網赤血球測定装置, R-3000