Sysmex Journal Web

2017年Vol.18 No.3

論文(転載)

多項目自動分析装置 XNシリーズのWNRチャンネルにおける有核赤血球と好塩基球の識別原理の検証

著者

海道 雅子, 高木 由里, 河野 麻理, 中澤 文恵, 山本-松廣屋 志緒里, 和田 淳, 森川 隆

シスメックス株式会社 学術本部 学術研究部 リサーチ課

Summary

背景:多項目自動血球分析装置 XN シリーズ( シスメックス株式会社 ; 以下,シスメックス )の WNR チャンネルは,白血球の計数,好塩基球および有核赤血球の分類・計数を行っている.WNR チャンネルの専用試薬である酸性溶血剤は血球細胞の細胞膜を破壊し,同時に添加される蛍光染色液によって有核赤血球や白血球の核酸を含む細胞小器官を染色する.そしてフローサイトメトリーで得られたそれぞれの細胞の前方散乱光強度 ( 以下,FSC ) と側方蛍光 ( 以下,SFL ) の情報をスキャッタグラムに展開する.本論文では,WNR チャンネルにおける有核赤血球と好塩基球の識別原理について報告する.

方法:健常者の末梢血と臍帯血由来の有核赤血球をWNR専用試薬で反応させ,汎用のフローサイトメーター( FCM )でスキャッタグラム上の各血球の出現位置を確認した.さらに,透過型電子顕微鏡( 以下,TEM )でWNR専用試薬処理によって生じた細胞の形態の変化を観察した.

結果:汎用FCM の結果,好塩基球は他の白血球よりも FSC,SFLとも高い位置に出現した.また,有核赤血球は白血球よりもSFLが低い位置に出現した.またTEM観察の結果,認められなかった.一方で有核細胞は,WNR専用試薬処理後の細胞質( 細胞小器官を含む )の残存度合いが異なっていた.網赤血球と赤血球は検出されなかった.

考察:今回の結果より,各血球細胞のスキャッタグラム上の出現位置の違いは,細胞内の細胞質の残存度とWNR専用試薬で染色される核酸量の違いに相関していることが示唆された.

Key Words

自動血球計数分析装置, フローサイトメトリー, 透過型電子顕微鏡, 白血球, 有核赤血球, 散乱光強度, 蛍光強度

Notes

*本稿は,Practical Laboratory Medicine 8 ( 2017).doi:10.1016/j.plabm.2017.05.001の文献を翻訳・転載したものです.