Sysmex Journal Web

2016年Vol.17 No.2

その他

ISO 15189が求める「教育」について

著者

生田 幹博

福岡大学病院 臨床検査部

Summary

ISO 15189:2012において,「教育」は,「5章 技術的要求事項」の一番目「5.1 要員」の中に掲げられている.5.1は,「5.1.1一般」,「5.1.2要員の資格」,「5.1.3 職務規定」,「5.1.4要員への組織環境の紹介」,「5.1.5トレーニング ( 教育・訓練) 」,「5.1.6力量評価」,「5.1.7スタッフの遂行能力のレビュー」,「5.1.8継続的教育及び専門的能力の開発」,「5.1.9要員の記録」と9項目に分類されている.

当院検査部がISO 15189認定を取得したのは2014年11月,取得準備を始めたのは2013年8月である.初めは,「ISO とは?」という状態であり,皆何となく,「とにかく大変そうやね!」,「マニュアルを沢山作らなければならないらしい!」という具合で漠然と準備が始まった.認定取得活動は,全員参加の方針のもと,各委員会を立ち上げ,品質マニュアル,基準文書,そして項目SOP の作成を進めた.最初は漠然とした状態であったが,進めていくうちにISOが要求しているものが徐々に分かってきた.ところが,「教育」となると,なかなか基準文書や教育様式ができなかった.それまで,新人技師や若手技師,ローテーションで異動してきた技師への教育をきちんと行っていたはずなのに……という思いがある一方,教育委員会で様々な検討をしていくうちに,「各検査室に統一した教育マニュアルがない」,「評価チェック表がない」ということが分かってきた.確かに,よくよく考えると今までの教育は,先輩や同僚が「昔からこうだから」と何となく教えていたという一面があったことに気づいた.また,指導する側にとっても,教育に関する一定の基準がないため,「いつまでに教育するのか」,「どこまで教育するべきなのか」などの疑問や迷いがあることも分かってきた.そこで,教育委員会が中心となって各検査室に問題点を提起し,分野ごとの教育システムを作り,そして「教育訓練実施基準文書」が完成した.

ISO 15189の運用をスタートさせて約2年が経過するが,「教育訓練実施基準文書」は,これまでに8回の改訂を行い,試行錯誤を繰り返し,現在 ( 第9版) に至っている.今回は,その一部を紹介する.