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2014年Vol.15 No.1

レポート

当院の夜間・休日における自動血球分析装置による髄液細胞算定の運用法

著者

久末 崇司, 田中 雅美, 宿谷 賢一, 大久保 滋夫, 下澤 達雄, 矢冨 裕

東京大学医学部附属病院 検査部

Summary

髄液細胞の検査は,髄膜炎や脳炎などの疾患の診断に重要である.また,腫瘍細胞の検出は,髄膜浸潤の判断につながるため,細胞数算定を行うとともに細胞分画を行い,その形態を注意して観察することが重要である.髄液中の細胞変性は早く,迅速な検査の実施が求められている.髄液細胞数算定は一般的にフックス・ローゼンタール計算盤を用いた目視法で行われ,髄液細胞数算定の最も基本的な方法とされている.しかし,計算盤の破損による技師への感染の危険性があるため,計算盤の取扱いには注意する必要がある.また,顕微鏡を用いての細胞鑑別には技量が必要で,夜間や休日業務のみ髄液検査を行う技師には負担が大きく,個人の力量によって検査結果に誤差が生じることが指摘されている.

近年では体腔液中の細胞数を測定可能な自動血球分析装置が多く開発されている.髄液細胞の算定は,体腔液細胞の算定と同様にこれらの自動血球分析装置を使用することで,夜間や休日の業務にて迅速かつ簡便に誤差が生じることなく行うことができる.当院では,2008年より夜間・休日の髄液細胞数検査は,多項目自動血球分析装置XE-5000 ( 以下,XE-5000;シスメックス社 ) を用いて髄液細胞の算定を行ってきた.2013年からは,XE-5000の後継機種であるXNシリーズを夜間・休日の髄液細胞数検査に導入し運用している.XN シリーズは分析ユニットや搬送部との組み合わせによって名称が異なるが,本稿ではXN シリーズと統一して表記する.今回は,当院におけるXN シリーズの導入にあたり行った基礎的検討結果および,実際の運用法について報告する.