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2014年Vol.15 No.1

論文

HIV 抗原抗体同時測定 ( 第四世代) 試薬の全自動免疫測定装置HISCL-2000i による基礎的検討

著者

斧研 洋幸, 鈴木 昌行, 井野 ちさと, 佐藤 恵利子, 小林 千尋, 渡会 義弘, 山﨑 哲

聖マリアンナ医科大学病院 臨床検査部

Summary

現在,世界のヒト免疫不全ウイルス ( Human Immunodeficiency Virus;HIV ) 感染者数は約3,400 万人と推定されている.

原因ウイルスであるHIV の検査法,治療法は日々進歩を重ねてきた.HIV 感染の有無を早期に診断し治療することにより,後天性免疫不全症候群 ( Acquired Immunodeficiency Syndrome;AIDS ) を発症せずに延命できる時代へと変化してきた.

今回,新たに開発された化学発光酵素免疫測定法 ( CLEIA 法 ) を原理とする抗HIV-1/2 抗体とHIV-1p24 抗原の同時検出が可能な第四世代HISCL HIV Ag+Ab 試薬 ( 以下,本試薬;シスメックス社 ) について,全自動免疫測定装置HISCL-2000i ( シスメックス社 ) を用いて基礎的検討を行い,従来の第二世代HISCL HIV Ab 試薬 ( 以下,従来試薬;シスメックス社 ) と比較検討した.

両試薬の比較結果では,従来試薬に比較して本試薬は非特異陽性例の減少を認めた ( n = 670 ).両試薬の一致率は96%であり,陽性検体の一致率は100%であった.また,従来試薬もしくは本試薬で陰性であった検体のC.O.I. 値ヒストグラムでは,従来試薬に比較して本試薬は有意に低値を示しクリアカットであった.以上の結果となった要因は,本試薬のヒト化モノクローナル抗体がHAMA
( Human Anti Mouse Antibody ) 等による非特異的な反応を原理的に起こりにくくしていることが考えられた.このことから,本試薬は陰性例をより低値なC.O.I. 値として判別が可能で,C.O.I.1.0 における判別を向上させるものと考えられた.

今回の比較検討から,本試薬は従来試薬に比較して特異性に優れ日常検査に有用であることが示された.

Key Words

HIV- 抗原 / 抗体同時測定, AIDS, HIV-1p24 抗原