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2012年Vol.13 No.3

論文

血小板粒度分布に関する血小板容積最頻値 ( P-MFV ) の有用性の検討

著者

近藤 明宏*1, 眞鍋 紀子*1, 今井 正*1, 山口 航*2, 秋山 佳織*3, 杉 理恵*3, 上原 典子*3

*1 香川県立保健医療大学大学院 保健医療学研究科
*2 香川県立保健医療大学 保健医療学部 臨床検査学科
*3 香川県立中央病院 中央検査部

Summary

多項目自動血球分析装置XE-2100 を用いた血小板測定時に血小板粒度分布異常等が起こると,血小板数以外の平均血小板容積 ( MPV ) や血小板分布幅 ( PDW ) といった解析項目が表示されず,血小板の大きさや形態異常の把握などが困難になる場合が多々ある.血小板容積最頻値 ( P-MFV ) はこのような場合でも測定結果を得られるが,XE-2100のサービス項目であるため,参考値としての域を出ないのが現状である.また,XE-2100 のアップグレードソフトウェアであるIPF master 搭載機器では,網赤血球チャンネル ( RET チャンネル) による幼若血小板比率 ( IPF% ) も測定可能である.IPF%は骨髄での血小板産生の指標であり,血小板移植後の回復期のマーカーなどに有用であるとされている.今回は患者検体259 件を血小板数により群別し,P-MFV,MPV,IPF%間の比較検討を行った.その結果,血小板数5 万/μL 以上の場合ではP-MFV,MPV およびIPF%間に有意な相関性が認められた.P-MFV が,末梢血においてMPV に代わる血小板の大きさの参考指標として有用であり,IPF%に準ずる血小板産生能の参考指標となりうる可能性が示唆された.しかし血小板数5 万/μL 未満の場合には,P-MFV とIPF%間に有意な相関性が認められず,P-MFV,IPF%の解釈には注意が必要であると考えられた.

Key Words

P-MFV, IPF, MPV, XE-2100, 血小板粒度分布異常