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2011年Vol.12 No.1

論文

全自動血液凝固測定装置CS-2000i を用いたリストセチンコファクター活性 ( VWF:RCo )測定機構の最適化の検討

著者

新井 信夫, 向出 佳恵, 杉山 透, 船越 國宏

シスメックス株式会社 学術部

Summary

我々は,VWF:RCo 測定を全自動血液凝固測定装置CS-2000i ( CS-2000i ;シスメックス社 ) へ適応させるため,スターラーバーを挿入した反応キュベットとマグネットによる撹拌機能をCS-2000i に搭載した.本測定においては,スターラーバーの形状 ( 直径,長さ ) とその撹拌スピードが,良好な測定データが得られるかどうかに大きく影響することから,これを最適化するために種々の検討を実施した.再現性や検量線の傾きなどを含めて総合的に評価した結果より,スターラーバーの直径は1.2mm,長さは3.8mm,撹拌スピードは900 rpm を測定条件として設定した.測定成績については,2濃度のコントロール血漿を用いた同時再現性は,正常域がCV 4.4%,異常域がCV 3.3%と良好であった.また,希釈直線性では,サンプルの希釈倍率を変更することで5 ~ 330%の範囲で直線性が確認された.

VWF:RCo 低活性サンプルを用いた検出限界では,活性値 5%の検出限界を確認した.用手法とは相関が認められ,活性値域では高活性値域に比べて,両測定法において測定値がより近似していた.

本装置はVWF:Ag,FⅧ:C およびVWF:RCo の測定に対応していることから,VWD 診断のために有用な情報を提供できると考えられる.

Key Words

全自動血液凝固測定装置CS-2000i , VWF, VWF:Rco