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2010年Vol.11 No.2
論文河野 麻理, 近藤 民章, 高木 由里, 和田 淳, 船越 國宏
シスメックス株式会社 学術本部 セルアナリシスセンター
シスメックス社製の自動血球計数装置に搭載されている白血球分類機能では,白血球を専用試薬で染色し,フローサイトメトリーの原理を用いてその染色強度と側方散乱光から2次元の白血球分類スキャッタグラム( DIFF スキャッタグラム) を描き,スキャッタグラム上の出現位置の違いに基づき白血球の分類を行っている. 一方,白血球のタイピングは,CD 抗原に対するモノクローナル抗体を用いることでも実施される.
今回我々は,CD 抗体によるタイピングと血液分析装置による分類の関係をCD 抗体と専用試薬の二重染色により検討した.
健常者末梢血から比重遠心と磁気ビーズ ( MACS ) 法のネガティブ分離により,顆粒球,T,B リンパ球,単球を分離した。分離した各細胞にFITC で標識した各種CD 抗体を感作させ,さらに血球分析装置と同様の方法で専用試薬処理して,フローサイトメーター ( FCM ),共焦点レーザー顕微鏡 ( CLSM ) および透過型電子顕微鏡 ( TEM ) により解析した.
FCM 解析では,大部分のCD3 およびCD19 陽性細胞がDIFF スキャッタグラム上のリンパ球の位置に,CD14 陽性細胞が単球の位置に,CD16b 陽性細胞が好中球の位置に出現した. CLSM およびTEM による観察でも,これらの細胞が,それぞれの白血球に特徴的な形態を呈していた.
DIFF スキャッタグラム上で分類された白血球はCD 抗体染色によるタイピングと良く一致していた.
自動血液分析装置, 白血球分類, CD 抗体, フローサイトメトリー, 二重染色
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