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2010年Vol.11 No.1
総説石井 良和
東邦大学 医学部 微生物・感染症学講座
900種類以上のβ-ラクタマーゼがこれまでに報告されてきたが,1980年代以降に発見されたものがほとんどで,使用される抗菌薬と出現した新規β-ラクタマーゼとの関係が議論されてきた. 日本では,カルバペネム系薬分解型β-ラクタマーゼ ( カルバペネマーゼ ) のほぼすべてがメタロ-β-ラクタマーゼ ( MBL ) と呼ばれる酵素である. 一方,欧米を見ると,それ以外のβ- ラクタマーゼが多数報告されており,その中のいくつかのβ-ラクタマーゼを産生する菌は多剤耐性を示すとされている. 米国東海岸で発見されたカルバペネム系薬耐性肺炎桿菌は,北米全土,ヨーロッパ,中東,アジアと瞬く間に世界中に拡散した. カルバペネム系薬耐性肺炎桿菌は,現時点まで日本では輸入例と考えられる症例が1件報告されており,今後の動向が注目される。他にも,諸外国で問題視されているカルバペネマーゼをはじめとするβ-ラクタマーゼは多数あることから,それらの情報とその検出方法を日本でも把握し,常に監視する必要があると思われる。本稿では,日本で未検出,あるいは検出頻度が低いカルバペネマーゼを含め,各種β-ラクタマーゼの酵素学的特長およびその検出法について概説する.
β-ラクタマーゼ, カルバペネマーゼ, 基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ, 検出法, M100-S20
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