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2010年Vol.11 No.1

総説

尿路性器感染症の診断・治療・予防 — 単純性尿路感染症,急性性器感染症を中心に —

著者

荒川 創一*1,2

*1 神戸大学大学院 医学研究科 地域社会医学・健康科学講座
*2 神戸大学医学部附属病院 感染制御部

Summary

普段健常な女性が罹患する泌尿器科疾患としては,単純性尿路感染症 ( Urinary Tract Infections;UTI ) の頻度が高い. 一方,普段健常な男性では,性器感染症である急性前立腺炎と急性精巣上体炎とがしばしばみられる.

総体的に尿路感染症は,細菌感染としては最も頻度の高い感染症であり,多くの臨床医が臨床現場で ( 症例に ),臨床検査技師が検査室で ( 検体に ) 日常的に遭遇する疾患といえる.

通常,その診断は比較的容易であり,尿路基礎疾患の合併がない単純性尿路感染症では,抗菌薬治療に対する反応性も良好である. その第一選択薬をどの系統薬剤にするかを女性に多い単純性尿路感染症について述べ,続いて細菌性あるいはクラミジア性性器感染症である男性の急性前立腺炎と急性精巣上体炎にも言及する.

Key Words

急性単純性膀胱炎, 急性単純性腎盂腎炎, 急性前立腺炎, 急性精巣上体炎