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2009年Vol.10 No.3

総説

血液培養 — 採血から培養結果の解釈まで —

著者

岡崎 充宏, 福川 陽子

杏林大学医学部付属病院 臨床検査部

Summary

微生物検査において喀痰や尿などの臨床検体の適正な採取は,臨床現場の医療スタッフや患者に依存している. 血液培養検査では血流感染 / 敗血症が疑われる患者から採血を行うが,採血部位である皮膚の常在菌による汚染に十分な注意を払わなければ,患者の診断および治療に影響を与えることになりかねない. したがって,採血者は血液培養検査のための正しい検体採取の方法を熟知し,十分な訓練を受けていることが望ましい. また,血液培養検査から得られた結果の解釈も重要であり,その解釈に至るまでの多くの判断には微生物学的背景の知識も必要とされる.

本稿では,血液培養検査における検体の採血から検出菌の臨床的な解釈までの一連のプロセスについて解説する. なお,血液培養検査における感染性心内膜炎などの臨床的疾患との関連性は他書にわかりやすく解説されているので本稿では割愛する.

Key Words

血液培養, 採血, 2セット採血, 検出菌, 培養時間, 有意性, 汚染