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2009年Vol.10 No.2
総説松生 香里, 永富 良一
東北大学大学院 医工学研究科 健康維持増進医工学研究分野
スポーツ選手は試合当日に最高のパフォーマンスを発揮するため,日々トレーニングを行う. とりわけ陸上長距離選手はレース前後に風邪症状を訴えることが多い. 「風邪」のほとんどはウイルス感染症であり,感染防御に免疫系が関与している可能性がある. このことから,持久的トレーニングや長時間の運動が免疫系に抑制的に働くという仮説に基づき,多くの研究者がスポーツ選手や動物を対象にした実験や調査で免疫系と運動トレーニングに関する研究を試みている. 持久的トレーニングに伴い免疫系に関わる数多くの指標が変動することが明らかになったが,これらの免疫系の変化が,ウイルスなどの感染感受性と直接関連している証拠は現在まで全く得られていない. むしろスポーツ選手の風邪症状は感染症ではない可能性を示唆する調査結果も報告されている.
本稿では,これまでの研究成果や調査結果を紹介しながら,運動に伴う免疫系の変化,「免疫力」の指標として用いられることが多いNK 細胞数,NK 細胞活性,唾液中IgA ( sIgA ) を概観し,その意義に再検討を加える.
コンディショニング, 免疫担当細胞, 自律神経系, 長距離走
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