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アルツハイマー病治療薬である抗アミロイドβ抗体薬の副作用リスクを予測する検査試薬の製造販売承認を申請

~血液中のゲノムDNAからAPOE遺伝型を判定~

 シスメックス株式会社(本社:神戸市、代表取締役社長:浅野 薫)は、抗アミロイドβ抗体薬の副作用リスクを予測するため、血液中のゲノムDNAからAPOE 遺伝型※1を判定する検査試薬(以下「本検査試薬」)の日本における製造販売承認申請を、2024年9月13日に実施したことをお知らせします。

 近年、国内外において、アルツハイマー病の病理に作用する抗アミロイドβ抗体薬の開発が活発化しています。抗アミロイドβ抗体薬は有効性が期待される一方で、投与を受けた一部の方でアミロイド関連画像異常※2(以下「ARIA」)と呼ばれる副作用を伴うことが知られており、その発現頻度はAPOE 遺伝型によって異なることが報告されています※3

 このたびシスメックスは、APOE 遺伝型を判定する検査試薬の製造販売承認申請を行いました※4今後、本検査試薬が保険診療で実施可能となれば、臨床現場において、抗アミロイドβ抗体薬の投与を検討する際、医師と患者さん・ご家族がARIA発現リスクについて話し合うことができるものと期待されます。

 シスメックスは、認知症の早期診断や治療法の選択、治療効果のモニタリングなどに資する新たな検査・診断技術の創出に取り組んでおり、これまでに微量の血液からアルツハイマー病の原因とされる脳内アミロイドβの蓄積状態を調べる検査試薬を日本、米国および欧州へ販売を開始しています。今後も患者さん一人ひとりのヘルスケアジャーニーに寄り添い、適切な治療法の選択や、健康社会への新たな価値創出に貢献します。
 
【参考】
  認知症に関する脳脊髄液・血液バイオマーカー、APOE 検査の適正使用指針
第2版2023年9月30日(「認知症に関する脳脊髄液・血液バイオマーカー、APOE 検査の適正使用指針」作成委員会)
  https://www.neurology-jp.org/news/pdf/news_20231003_03_01.pdf


【注釈】
  ※1 APOE 遺伝型:
脂質代謝に関わるアポリポタンパク質E(ApoE)をコードする遺伝子。112番目と158番目のアミノ酸をコードする2つの一塩基置換(rs429358, rs7412)の組み合わせにより3つの遺伝型(ε2, ε3, ε4)が規定される。ARIAはAPOE のε4ホモ接合体、ε4ヘテロ接合体、非ε4保持者の順で発現頻度が高い。特にAPOE ε4ホモ接合体は、症候性ARIAが生じる可能性が他の遺伝型と比べて相対的に高い。
米国で承認をされた抗アミロイドβ抗体薬の添付文書*においては、ARIA発現リスクを知るために、治療開始前にAPOE 遺伝型判定を実施すべきであり、また検査に先立ちARIA発現リスクとAPOE 遺伝型の結果について患者さんと話し合うべきとされている。
一方APOE 遺伝型判定を受けない場合、APOE ε4ホモ接合体でARIA発現リスクが高いかは判断できないが、これら治療薬の治療を受けることは可能であることを患者さんに伝えるべきとされている。
*添付文書情報(米国食品医薬品局(FDA)承認薬データベース)[2024年9月17日閲覧]
LEQEMBI(一般名:lecanemab-irmb)
https://www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2023/761269Orig1s001lbl.pdf
Kisunla(一般名:donanemab-azbt)
https://www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2024/761248s000lbl.pdf
     
  ※2 アミロイド関連画像異常:
ARIA(amyloid-related imaging abnormalities)は、ARIA-EとARIA-Hの2種類に分類される。前者は脳の血管の周りに液体成分が溜まる浮腫、後者は脳内の微小出血や鉄(ヘモジデリン)沈着のこと。多くの場合は無症状だが、まれに重篤な事象が報告されたケースもある。
出典:Hampel H.et al. Amyloid-related imaging abnormalities (ARIA): radiological, biological and clinical characteristics, Brain. 146, 4414-4424 (2023)
https://doi.org/10.1093/brain/awad188
     
  ※3 出典:
van Dyck CH., et al. Lecanemab in early Alzheimer's disease. New Engl J Med. 388, 9-21 (2023)
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2212948
Sims JR. et al. Donanemab in early symptomatic Alzheimer disease: The TRAILBLAZER-ALZ 2 Randomized Clinical Trial. JAMA 330 512-527 (2023)
https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2807533
     
  ※4 同承認申請にかかる臨床性能試験は、エーザイ株式会社と共同研究として実施しました。
     
以上

シスメックス株式会社について

シスメックスは、グループ企業理念「Sysmex Way」において「ヘルスケアの進化をデザインする。」をミッションに掲げています。1968年の創立以来、血液や尿などを採取して調べる検体検査分野を中心として事業を展開し、現在は190以上の国や地域で、人々の健康を支えています。長期ビジョン「より良いヘルスケアジャーニーを、ともに。」のもと、一人ひとりの生涯にわたるヘルスケアの旅路「ヘルスケアジャーニー」がより良いものになるよう、検体検査領域でのさらなるイノベーション創出に加え、新たな領域にも挑戦しています。シスメックスは、独自のテクノロジーとソリューション、さらにはさまざまなパートナーとの協創を通じて新たな価値を提供し、健康で長生きしたいという人々の普遍的な願いに寄り添います。
※「ヘルスケアジャーニー」はシスメックス株式会社の登録商標です。

シスメックスの詳細については、www.sysmex.co.jpをご覧ください。

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