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再生細胞医療領域への取り組み加速に向けて株式会社メガカリオンを子会社化

~ヒトiPS細胞由来の血小板製剤の早期事業化を目指す~

 シスメックス株式会社(本社:神戸市、代表取締役社長:浅野 薫)は、再生細胞医療領域への取り組みの加速に向け、2023年12月20日、ヒトiPS細胞※1から血小板を産生させる基盤技術を有する株式会社メガカリオン(本社:京都市下京区、代表取締役社長:赤松 健一、以下「メガカリオン」)の株式を追加取得(連結子会社化)しました。メガカリオンをシスメックスグループの一員とすることでさらにシナジーを発揮し、高品質かつ安全性の高いiPS細胞由来血小板製剤の事業化を加速します。また、当社検査機器の精度管理に用いる標準物質の原材料への応用の検討なども進めていきます。

 シスメックスは、2023年5月に発表した長期経営戦略において、再生細胞医療など、診断と治療の境界に位置する領域での新たな事業の創出を掲げており、革新的な医療の提供を目指しています。
 血小板をはじめとする血液製剤による輸血医療※2は、医療における基盤的な治療手段の一つですが、現在、これらの血液製剤をつくるために必要な血液は全て献血によって賄われています。血小板輸血の需要は高く、急性白血病などの血液がんや再生不良性貧血を原因とする血小板減少症など、血小板輸血を受ける患者さんのうち約8割が、治療として繰り返し血小板の輸血を受けています※3。しかし、繰り返し輸血を受けると、一部の患者さんでは、自分の身体とは異なる抗原(HLA※4)に対して抗体が作られ、その結果、輸血の効果が得られなくなる「血小板輸血不応症」を発症することがあります。また献血から得られた血小板製剤では、献血時の細菌汚染による感染症や、製剤中に含まれる血漿成分によるアレルギー反応など重大な副作用が起きることもあります。
 メガカリオンは、iPS細胞からHLAを発現せず、血漿を含まない高品質な血小板製剤を作製する世界初の基盤技術を保有しています。この技術が実用化されれば、これらのリスクや副作用を伴わずに、安全な血小板輸血が可能になると期待されています。

 シスメックスは、ヘマトロジー分野で培った血小板分析技術を活かして、ヒトiPS細胞由来血小板製剤の実用化に貢献することを目的として、2017年12月にメガカリオンに出資し、ヒトiPS細胞由来血小板の品質管理に関わる検査法を開発しました。

 このたび、メガカリオンと当社グループとのシナジーをさらに強化し、ヒトiPS細胞由来の血小板製剤の早期事業化を通じて当社の再生細胞医療への取り組みを加速させるべく、2023年12月20日付で同社の株式を追加取得し、連結子会社化しました。シスメックスは、メガカリオンとの緊密な連携のもと、検査・診断領域で培った技術を活用し、ヒトiPS細胞由来血小板製剤の製造自動化システム(品質管理検査含む)の開発を推進します。また、メガカリオンの技術を、当社検査機器の精度管理に欠かせない標準物質の原材料の新たな製造方法として活用する可能性も検討していきます。

 今後、シスメックスとメガカリオンは、再生細胞医療の社会実装に向け、グループ一体となり、高品質かつ安全性の高いヒトiPS細胞由来血小板製剤の早期事業化に向けた取り組みを加速してまいります。 
【株式会社メガカリオンの概要】

会社名

株式会社メガカリオン
所在地 京都府京都市下京区中堂寺南町134 京都リサーチパーク
設立日 2011年9月
資本金
1億円
出資比率 80.9%
代表者 代表取締役社長 赤松 健一
従業員数 10名
事業内容 iPS細胞由来血小板製剤の実用化

 

  【参考】
    2017年12月25日リリース『iPS細胞由来血小板製剤の実用化への貢献を目指し株式会社メガカリオンに出資』
https://www.sysmex.co.jp/news/2017/171225.html
     
 
  【注釈】
  ※1 iPS細胞(人工多能性幹細胞:induced pluripotent stem cell):
ヒトの皮膚の細胞などにいくつかの因子を導入することによって作製された、さまざまな組織や臓器の細胞に分化する能力を持った幹細胞。山中伸弥教授率いる京都大学の研究グループによって発見された。この細胞を分化誘導することにより、理論上は体を構成する全ての組織や臓器に分化させることが可能と考えられており、再生医療の実現に向けて注目が集まっている。
     
  ※2 輸血用血液製剤には、全血製剤、赤血球製剤、血漿製剤、血小板製剤があり、過去は採血されたままの全ての成分を含んだ全血製剤の輸血が主流だったが、現在では、患者さんが特に必要とする成分だけを輸血する成分輸血(赤血球製剤、血漿製剤、血小板製剤)が主流となっている。
     
  ※3
出典:「東京都 令和3年輸血状況調査」をもとにメガカリオン推定
     
  ※4
HLA(Human Leukocyte Antigen:ヒト白血球抗原):
ほぼ全ての細胞と体液に分布しており、組織適合性抗原(ヒトの免疫機構において自他認識に関わる重要な分子)として働いていることが明らかになっている。自分のHLAのタイプに合わないものを移植されると体はそれを異物と認識して攻撃を始めてしまう。そのため、造血幹細胞移植や臓器移植、再生医療等ではHLAの適合性が重要なポイントとなる。
     
以上

シスメックスについて

シスメックスは、グループ企業理念「Sysmex Way」において「ヘルスケアの進化をデザインする。」をミッションに掲げています。1968年の創立以来、血液や尿などを採取して調べる検体検査分野を中心として事業を展開し、現在は190以上の国や地域で、人々の健康を支えています。長期ビジョン「より良いヘルスケアジャーニーを、ともに。」のもと、一人ひとりの生涯にわたるヘルスケアの旅路「ヘルスケアジャーニー」がより良いものになるよう、検体検査領域でのさらなるイノベーション創出に加え、手術支援ロボットや再生細胞医療などの新たな領域にも挑戦しています。また、長期ビジョン実現に向けて優先するSDGs項目とマテリアリティ(優先的に取り組むべき課題)を特定し検証することで、社会価値と経済価値を創出するサステナブル企業として成長し続けます。シスメックスは、独自のテクノロジーとソリューション、さらにはさまざまなパートナーとの協創を通じて新たな価値を提供し、健康で長生きしたいという人々の普遍的な願いに寄り添います。

シスメックスの詳細については、www.sysmex.co.jpをご覧ください。

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