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シスメックスとJCRファーマ、再生・細胞医療領域で合弁会社を設立

~幹細胞などを用いた再生医療等製品の研究開発および早期事業化を目指す~

 シスメックス株式会社(本社:神戸市、代表取締役会長兼社長 CEO:家次 恒)と、JCRファーマ株式会社(本社:兵庫県芦屋市、代表取締役会長兼社長:芦田 信、以下「JCR」)は、造血幹細胞をはじめとする幹細胞やその他の細胞を用いた再生医療等製品の研究開発、製造および販売を行う合弁会社(以下、本合弁会社)を設立したことをお知らせします。

 加齢や疾患により失われた組織や機能の回復、自己免疫疾患の治療、がん領域への応用など、従来の化学合成の低分子医薬品※1やバイオ医薬品※2では解決が困難とされてきた領域において、近年、再生・細胞医療にはさまざまな可能性が見いだされています。その中でも、造血幹細胞や間葉系幹細胞、iPS細胞など、幹細胞の治療応用を目的とした研究開発が活発に行われています。
 
 シスメックスは、創業以来、臨床検査室における業務効率化や医療従事者の安全性の向上を目指し、検査フローの自動化、IoTを活用したネットワークソリューションを提供してきました。また、これまで再生医療等製品を開発する企業に品質管理検査を提供するとともに、移植される臓器または組織に対する患者さんの免疫応答を調べる、新規の移植前適合性試験に関する研究開発を進めてきました。
 JCRは、創業以来ターゲットにしている希少疾病領域において、再生医療・遺伝子組換え・遺伝子治療技術による医薬品の研究開発・製造・販売を行ってきました。再生医療分野においては、造血幹細胞移植後に発症する重篤な合併症である急性移植片対宿主病(急性GVHD)※3を適応とした日本初の他家由来の再生医療等製品として、「テムセル®HS注※4」(一般名:ヒト(同種)骨髄由来間葉系幹細胞)を2016年2月に世界に先駆けて発売しました。近年はこれまで培ってきたノウハウや技術を高度に統合し、新たなプラットフォーム技術の確立に向けて基盤技術開発や基礎研究への取り組みを強化しています。
 
 両社は、再生・細胞医療の社会実装に向け、シスメックスが持つ品質管理検査の技術やIoTを含むロボット技術を活用したワークフローの効率化に関する知見と、JCRが持つ再生医療等製品の開発・製造・販売の実績やノウハウを融合し、幹細胞やその他の細胞を用いた再生医療等製品の研究開発および早期事業化のための提携について検討を続け、2022年10月3日にAlliedCel株式会社を設立しました。本合弁会社は、現在両社で推進している造血幹細胞の増殖技術を用いたプロジェクトをはじめ、その他の技術開発および事業化に関する可能性についても検討を進めていきます。
 本合弁会社の社名には、ビジネスパートナーとのアライアンスに加え、患者さんやそのご家族を含むあらゆるステークホルダーの「知」の融合により、細胞の力を最大限に引き出し、患者さんの新たな人生の歩みを支えるという想いが込められており、幹細胞をはじめとする多種多様な細胞を用いた再生医療等製品の研究開発を通じて患者さんへの適切な治療機会の提供と予後改善の実現を目指します。
 
 
 

【本合弁会社の概要】

    会社名: AlliedCelアライドセル株式会社
    所在地: 兵庫県神戸市中央区港島南町1丁目5番5号
    設立日: 2022年10月3日
    資本金: 1億円
    資本準備金: 1億円
    出資比率: シスメックス 50%、JCR 50%
   

役員(代表取締役):

代表取締役社長 薗田 啓之
  (JCRファーマ株式会社 常務取締役 研究・経営戦略担当 研究本部長)
代表取締役副社長 辻本 研二
  (シスメックス株式会社 技術戦略本部長)

    事業内容: 再生医療等製品の研究開発、製造および販売  
    決算期: 3月  
 
【シスメックスの概要】
  シスメックスは、グループ企業理念「Sysmex Way」において「ヘルスケアの進化をデザインする。」をミッションに掲げ、医療の発展と人々の健やかな暮らしに貢献しています。血液や尿などを採取して調べる検体検査に必要な機器・試薬・ソフトウェアの研究開発から製造、販売・サービス&サポートを一貫して行っており、190以上の国や地域の医療機関へ製品をお届けしています。近年は、ライフサイエンス領域へと事業を拡大しており、独自のテクノロジーを用いて新たな検査・診断価値を創出し、一人ひとりに最適な医療の実現や、患者さんの負担軽減・QOL向上に貢献することを目指しています。
       
  会社概要  
    会社名:  シスメックス株式会社
    所在地: 兵庫県神戸市中央区脇浜海岸通1丁目5番1号
    設立日: 1968年2月20日
    資本金: 141億1,204万円(2022年3月31日現在)
    事業内容: 臨床検査機器、検査用試薬ならびに関連ソフトウェアなどの開発・製造・販売・輸出入
    URL: https://www.sysmex.co.jp

【JCRの概要】
  JCRは、「医薬品を通して人々の健康に貢献する」という企業理念のもと、時代を先取りした再生医療・遺伝子組換え・遺伝子治療技術による医薬品の研究開発・製造・販売を行っているバイオ医薬品のスペシャリティファーマです。1975 年の創業以来ターゲットにしている希少疾病領域において、常に「他社より一歩前に出る」独自の技術開発と製品創製に取り組み、様々な疾患に苦しむ患者の皆さんのために持続可能な価値創造の実現を目指しています。信頼、自信と信念をコアバリューに掲げ、従業員、パートナー企業と患者さんを含む全てのステークホルダーのために活動します。Together we soar.
       
  会社概要  
    会社名:  JCRファーマ株式会社
    所在地: 兵庫県芦屋市春日町3番19号
    設立日: 1975年9月13日
    資本金: 90億6,186万円(2022年3月31日現在)
    事業内容: 医薬品、再生医療等製品およびその原料の製造、売買ならびに輸出入医療用機器および実験用機器の売買ならびに輸出入
    URL: https://www.jcrpharm.co.jp
  

【注釈】

    ※1

化学合成の低分子医薬品:

段階的な化学合成の工程を経て生産される有機化合物。分子が小さく、ごく少数の機能的な分子グループを含む比較的単純な構造をしている。

 

    ※2

バイオ医薬品:

バイオテクノロジー(遺伝子組換えや細胞増殖などの技術)によってつくられる医薬品。有効成分がタンパク質由来(成長ホルモン、インスリン、抗体など)、生物由来の物質(細胞、ウイルス、バクテリアなど)により産生される。化学合成の低分子医薬品に比べて分子が大きく、複雑な構造をしている。

 

    ※3

急性移植片対宿主病(急性GVHD):

造血幹細胞移植後の予後を左右する移植関連合併症の一つで、移植された造血幹細胞に含まれる免疫担当細胞(リンパ球など)が、患者臓器を異物とみなして攻撃する疾患。

 

    ※4

テムセル:

JCRの登録商標。

 

 【シスメックスのマテリアリティ】
 

シスメックスは、優先的に取り組むべき課題(マテリアリティ)の一つに「製品・サービスを通じた医療課題解決」を特定し、臨床価値の高い製品の開発・供給に取り組んでいます。これまで培ってきた独自の技術やグローバルネットワークを活かして、今後も医療の発展とともに人々の健やかな暮らしへの貢献を目指した取り組みを進めてまいります。

 
 
  • プレスリリースに掲載されている情報は、発表日現在の情報です。
    その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご了承ください。

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