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プライマリケア事業における新たな尿検査ソリューション開発に向けAstrego Diagnosticsへ出資

 シスメックス株式会社(本社:神戸市、代表取締役会長兼社長 CEO:家次 恒 以下「シスメックス」)とAstrego Diagnostics AB(スウェーデン、CEO:Ove Öhman 以下「Astrego社」)は、Astrego社が開発を進める尿路感染症※1を対象とした迅速薬剤感受性検査※2の製品化を目的に、シスメックスがAstrego社へ出資することに合意しましたのでお知らせします。
 なお、本出資によりシスメックスはAstrego社株式の24.99%を取得しました。

 尿路感染症は、罹患率の高い感染症とされ、グローバルにおける患者数は1億5千万人といわれています※3。一般的な治療方法として抗菌薬の投与が行われていますが、適正な抗菌薬の投与には臨床所見に加えて細菌の同定検査※4、薬剤感受性検査が必要となる一方、本検査の実施には数日を要すため、初診時に検査結果に基づいた適正な抗菌薬投与が困難な状況です。結果、不適切な抗菌薬の投与によって薬剤耐性※5が発現することが問題とされています。
 尿路感染症に限らず、不適切な抗菌薬の投与は耐性菌発生の要因として、グローバルで大きな問題となっており、2015年5月に開催された世界保健総会(World Health Assembly)において「薬剤耐性(AMR:Antimicrobial Resistance)に関するグローバル・アクション・プラン」が採択され、その対策に向けた取り組みが先進国を中心に加速しています。
 
 Astrego社は、ナノメートルからマイクロメートル単位で加工した微細な流路により、液体中に複数存在する細菌を個別に捕捉し、微細流路内で単方向に菌を培養することで迅速な薬剤感受性検査を可能とする、独自のマイクロ流体技術(https://astrego.se/technology/)を有しています。現在Astrego社は、本マイクロ流体技術を活用し、尿を検体とした短時間での薬剤感受性検査が可能な小型装置の開発を行っています。
 また、シスメックスは、2025年を最終年度とする長期経営目標(2018年策定)において、ポジションの1つとして「プライマリケアの進展に貢献するソリューションプロバイダー」を設定し、この実現を目指しています。
 
 このたび、シスメックスとAstrego社は、Astrego社が開発を進める尿路感染症を対象とした迅速薬剤感受性検査の製品化を目的に、シスメックスがAstrego社へ出資することに2019年12月に合意しました。なお、シスメックスは、本出資によりAstrego社株式の24.99%を取得しました。
 両社は、クリニックを中心としたプライマリケア市場向けの尿路感染症を対象とした革新的な迅速薬剤感受性検査の製品化により適正な抗菌薬選択に貢献し、日本、欧州、米国などの先進国をターゲットとして製品導入を目指します。
 
 両社は、迅速薬剤感受性検査の製品化・適用拡大を通じて適切な検査、投薬を実現することで、罹患期間の短縮など患者さんのQOL向上に加え、薬剤耐性発生の低減、耐性菌感染治療に必要となる医療費削減、抗菌薬の延命などへの貢献を目指します。
【Astrego社の概要】
  会社名: Astrego Diagnostics AB(アストレゴ ダイアグノスティックス エービー)
  創立: 2017年3月 
  事業内容: 薬剤感受性に関する体外診断用製品の開発
  所在地: スウェーデン ウプサラ
  代表者: Ove Öhman, CEO
【注釈】
  ※1 尿路感染症:
腎臓から尿の出口までを「尿路」と言い、尿路に細菌が進入し炎症が生じたものを尿路感染症という。膀胱では膀胱炎、腎臓では腎盂腎炎を引き起こす。
 
  ※2 薬剤感受性検査:
検体から検出された病原菌に対する各種抗菌薬の効能を調べる検査。
 
  ※3 Antimicrobial resistance among uropathogens that cause community-acquired urinary tract infections in women: a nationwide analysis. Clinical Infectious Diseases. 2001;33(1):89–94. doi: 10.1086/320880.
 
  ※4 同定検査:
検体から検出された感染症の原因となる細菌の名前を決定する検査。
 
  ※5 薬剤耐性:
生物が自分に対してなんらかの作用をもった薬剤に対して抵抗性を持つことで、これらの薬剤が効かない、もしくは効きにくくなる現象。この薬剤耐性を獲得した細菌のことを薬剤耐性菌という。
 
 以上
  • プレスリリースに掲載されている情報は、発表日現在の情報です。
    その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご了承ください。

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