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血液がんの遺伝子検査キット(ipsogen JAK2 DX試薬)を発売

~骨髄増殖性腫瘍におけるJAK2V617F遺伝子変異検査が国内初の保険適用~

 シスメックス株式会社(本社:神戸市、代表取締役会長兼社長 CEO:家次 恒 以下「シスメックス」)は、2018年12月19日に製造販売承認を取得した「ipsogen JAK2 DX試薬」の販売を開始したことをお知らせします。本製品は、血液のがんと言われる造血器腫瘍性疾患のうち、真性赤血球増加症(以下、「PV」)、本態性血小板血症(以下、「ET」)および原発性骨髄線維症(以下、「PMF」)の診断に有用なJAK2V617F遺伝子※1の変異量を測定する遺伝子検査キットです。
 また本製品は、日本で初めてPV、ETおよびPMFの診断補助を目的とし、2020年1月1日付で保険適用を受けました。今後は保険診療下での検査が可能となることから、より多くの患者さんに対して受診機会が拡大することが期待されます。

 フィラデルフィア染色体陰性骨髄増殖性腫瘍の代表的疾患であるPV、ETおよびPMFは、さまざまな血球細胞のもととなる造血幹細胞の腫瘍化※2により引き起こされる疾患です。日本血液学会によると、日本国内における発症数は年間5,000~6,000人と言われています。
 
 世界保健機関(World Health Organization:WHO)のがんに特化した専門的な機関である国際がん研究機関(International Agency for Research on Cancer:IARC)が定めた腫瘍分類の規約であるWHO分類2017では、PV、ETおよびPMFの診断基準の重要項目(大分類)として原因遺伝子の変異を同定することが設定されました。このJAK2V617F遺伝子変異は、PV、ETおよびPMFの患者さんに多くに見られる主要な遺伝子変異であり、これら3つの疾患を診断する上で重要な位置付けとなっています。
 
 このJAK2V617F遺伝子変異の判断は、JAK2V617F遺伝子変異割合の定量測定値(アレルバーデン値※3)に基づき医師によって行われます。しかしながら、これまで国内には製造販売承認および保険収載されたJAK2V617F遺伝子変異の体外診断用医薬品は存在せず、国際基準に基づく適切な診断のため、新たな体外診断用医薬品の登場が待ち望まれていました。
 
 このような医療現場からの期待に応えるため、このたびシスメックスは、「ipsogen JAK2 DX試薬」がJAK2V617F遺伝子変異のアレルバーデン値を測定できる体外診断用医薬品として2020年1月1日付で保険適用されたことを受け、本体外診断用医薬品の販売を開始しました。製造販売承認および保険収載された本体外診断用医薬品が上市されることにより、より多くのPV、ETおよびPMFの疑いがある方に対して、国際基準に基づく的確な診断や受診機会が拡大することが期待されます。
 
 シスメックスは今後も、患者さんの検査機会の拡大および診断価値の高い検査・診断技術の創出に向けて取り組むことで、個別化医療の発展と進化に貢献していきます。
【製品の概要】
  一般的名称: JAK2遺伝子変異キット
  販売名: ipsogen JAK2 DX試薬(体外診断用医薬品製造販売承認番号:23000EZX00061000)
  対象市場: 日本
  製造販売元: シスメックス株式会社

【保険適用の内容】
  測定項目: JAK2遺伝子検査
  測定方法: アレル特異的定量PCR(AS-qPCR)法
  使用目的: 血球成分より抽出したゲノムDNAのJAK2V617F遺伝子変異割合の測定
(真性赤血球増加症、本態性血小板血症及び原発性骨髄線維症の診断補助)
  点数: 2,504点

【注釈】
  ※1 JAK2V617F遺伝子:
JAK2とは、チロシンキナーゼJAK2たんぱく質のことで、血液細胞の増殖や分化を調節するシグナルの伝達を行っている。このJAK2の617番のバリンというアミノ酸が、フェニルアラニンに置き換わる異常のこと。
 
  ※2 造血幹細胞の腫瘍化:
赤血球や白血球、血小板などの血液細胞は、骨髄の中にある造血幹細胞から産生される。この造血幹細胞に遺伝子の異常が起こり、血液細胞ががん化し急激に増殖すること。
 
  ※3 アレルバーデン値:
JAK2V617F遺伝子変異の多さを定量的に表したもの。
 
 以上
  • プレスリリースに掲載されている情報は、発表日現在の情報です。
    その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご了承ください。

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