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可溶性免疫チェックポイント分子(sPD-1、sPD-L1、sCTLA-4)全自動測定法の構築
シスメックス株式会社(本社:神戸市、代表取締役会長兼社長 CEO:家次 恒 以下「シスメックス」)と国立大学法人京都大学(所在地:京都市左京区、総長:山極 壽一 以下「京都大学」)は、シスメックスと京都大学 高等研究院 本庶 佑特別教授が、2013年から共同で研究開発を行ってきた、可溶性免疫チェックポイント分子(sPD-1、sPD-L1、sCTLA-4)の全自動測定法(以下「本測定法」)を構築したことをお知らせします。両者は、がん・免疫疾患領域の新たな診断技術の創出を目指し、本測定法を用いた臨床研究を積極的に進めて参ります。
免疫チェックポイント分子とは、体内の免疫恒常性※1を維持するために、免疫機能を活性化したり抑制したりする働きを持つ複数の分子(タンパク質)の総称です。免疫チェックポイント分子は、自己免疫疾患※2や、がんの免疫逃避※3に関わっていることが知られています。
近年、新たながん治療法として、がん患者さんに免疫チェックポイント分子に結合する抗体を投与し、免疫抑制機能を阻害することで免疫を再活性化させる「がん免疫療法」が確立されました。様々ながんに効果が認められ、多くの製薬企業で治療薬の開発が進められています。2018年には、免疫チェックポイント分子によるがん治療を考案した京都大学 高等研究院 本庶 佑特別教授、テキサス州立大学MDアンダーソンがんセンターのJames P. Allison博士がノーベル医学・生理学賞を受賞しました。
がん免疫療法は、従来の抗がん剤による治療効果が得られにくい患者さんに対しても高い治療効果を示す一方、投薬効果が期待できる患者さんを事前に選択することが難しいことに加え、免疫に関わる様々な副作用が生じる可能性があることから、治療効果や副作用の有無を予測するバイオマーカーの探索が進められています。
本庶特別教授は、体の免疫機能を調べてがんや自己免疫疾患の診断や予後判定につなげるため、通常では細胞膜表面に存在する免疫チェックポイント分子(PD-1、PD-L1、CTLA-4)の一部が、可溶性免疫チェックポイント分子(sPD-1、sPD-L1、sCTLA-4)として血液中にも存在することに着目しました。多くの研究者によって、がんや免疫疾患と血液中に存在する可溶性免疫チェックポイント分子との関連について検証が進められていますが、血中可溶性免疫チェックポイント分子の量が少ないことから、正確に測定することが困難でした。そこで、本庶特別教授とシスメックスは、血中可溶性免疫チェックポイント分子の測定が可能な、高感度免疫測定法を構築することで、患者さんの負担が少なく、簡便に免疫状態の把握が可能になると考え、2013年より共同研究を進めてきました。
このたび、両者は「研究用全自動高感度免疫測定装置 HI-1000」を用いた可溶性免疫チェックポイント分子の全自動測定法を構築しました。本測定法は、測定原理に化学発光酵素免疫測定法(CLEIA:Chemiluminescence Enzyme Immunoassay)を活用し、測定手技を全自動化することにより、可溶性免疫チェックポイント分子の測定を17分(100テスト/時間)で可能にするとともに、高い感度と再現性を実現しました※4。
なお、シスメックスは、2019年9月より本測定法を用いた研究用受託サービスを開始します。
本測定法は、がん免疫療法や様々な自己免疫疾患の新たな診断法となり、個別化医療の実現に繋がる可能性があることから、両者はその実用化に向けて研究開発を促進し、医療の発展に貢献していきます。
近年、新たながん治療法として、がん患者さんに免疫チェックポイント分子に結合する抗体を投与し、免疫抑制機能を阻害することで免疫を再活性化させる「がん免疫療法」が確立されました。様々ながんに効果が認められ、多くの製薬企業で治療薬の開発が進められています。2018年には、免疫チェックポイント分子によるがん治療を考案した京都大学 高等研究院 本庶 佑特別教授、テキサス州立大学MDアンダーソンがんセンターのJames P. Allison博士がノーベル医学・生理学賞を受賞しました。
がん免疫療法は、従来の抗がん剤による治療効果が得られにくい患者さんに対しても高い治療効果を示す一方、投薬効果が期待できる患者さんを事前に選択することが難しいことに加え、免疫に関わる様々な副作用が生じる可能性があることから、治療効果や副作用の有無を予測するバイオマーカーの探索が進められています。
本庶特別教授は、体の免疫機能を調べてがんや自己免疫疾患の診断や予後判定につなげるため、通常では細胞膜表面に存在する免疫チェックポイント分子(PD-1、PD-L1、CTLA-4)の一部が、可溶性免疫チェックポイント分子(sPD-1、sPD-L1、sCTLA-4)として血液中にも存在することに着目しました。多くの研究者によって、がんや免疫疾患と血液中に存在する可溶性免疫チェックポイント分子との関連について検証が進められていますが、血中可溶性免疫チェックポイント分子の量が少ないことから、正確に測定することが困難でした。そこで、本庶特別教授とシスメックスは、血中可溶性免疫チェックポイント分子の測定が可能な、高感度免疫測定法を構築することで、患者さんの負担が少なく、簡便に免疫状態の把握が可能になると考え、2013年より共同研究を進めてきました。
このたび、両者は「研究用全自動高感度免疫測定装置 HI-1000」を用いた可溶性免疫チェックポイント分子の全自動測定法を構築しました。本測定法は、測定原理に化学発光酵素免疫測定法(CLEIA:Chemiluminescence Enzyme Immunoassay)を活用し、測定手技を全自動化することにより、可溶性免疫チェックポイント分子の測定を17分(100テスト/時間)で可能にするとともに、高い感度と再現性を実現しました※4。
なお、シスメックスは、2019年9月より本測定法を用いた研究用受託サービスを開始します。
本測定法は、がん免疫療法や様々な自己免疫疾患の新たな診断法となり、個別化医療の実現に繋がる可能性があることから、両者はその実用化に向けて研究開発を促進し、医療の発展に貢献していきます。
【本測定法に関する概要】
| 項目 | sPD-1 | sPD-L1 | sCTLA-4 |
| 測定原理 | CLEIA(自動) | ||
| 検出感度 (pg※5/mL) |
3.9 | 6.8 | 0.4 |
| 測定範囲 (pg/mL) |
10.0 - 5000.0 | 25.0 - 5000.0 | 1.0 - 5000.0 |
| 【注釈】 | ||
| ※1 | 免疫恒常性: | |
| 外部病原体から自己を守るために免疫を亢進させる系と、過剰な免疫亢進を防ぐ免疫抑制系が、一定の免疫レベルを維持する機能のこと。 | ||
| ※2 | 自己免疫疾患: | |
| 免疫は、本来、体外から体内に侵入した異物を排除することで体を守る役割を持っている。しかし、この免疫細胞が自身の細胞や組織を異物と認識し、攻撃してしまうことで症状を起こす疾患を自己免疫疾患という。 自己免疫疾患として、膠原病、甲状腺疾患、重症筋無力症、1型糖尿病などがある。 |
||
| ※3 | がんの免疫逃避: | |
| がん細胞は、免疫系からの攻撃を回避するために、免疫チェックポイント分子が有する免疫抑制機能を利用していることが知られている。 | ||
| ※4 | Analytical performance of a new automated chemiluminescent magnetic immunoassays for soluble PD-1, PD-L1, and CTLA-4 in human plasma Scientific Reports 2019; vol. 9, 10144 |
|
| ※5 | pg(ピコグラム): | |
| 1ピコグラムは1兆分の1グラム。 | ||
以上
- プレスリリースに掲載されている情報は、発表日現在の情報です。
その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご了承ください。