シスメックス株式会社(本社:神戸市、代表取締役会長兼社長 CEO:家次 恒 以下「シスメックス」)はこのたび、当社が独自に開発したOSNA™法※1を用いて、がんのリンパ節転移を迅速に検出するがんリンパ節転移検査システムの新製品「遺伝子増幅検出装置 RD-200」および遺伝子増幅検出試薬「リノアンプ™CK19」を国内で発売します。なお対象市場は順次拡大していく予定です。検体処理能力を向上した新システムの提供により、OSNA™法を用いたがんリンパ節転移検査のさらなる普及を推進し、医療の標準化に貢献します。
がんの治療において、リンパ節転移有無の正確な診断を補助するリンパ節転移検査は、術式選択などの治療方針を決定する上で重要です。本検査は、通常、手術で摘出したリンパ節の切片を用いて病理標本を作製し、術中または術後に病理医が顕微鏡によりがん細胞の有無を確認することで判定(病理組織学的検査)されますが、標本作製における作業負担が発生すること、また標本の質が作製者の技量に依存することや、病理医により標本の判定精度が異なることなどが医療現場における課題となっていました。
シスメックスは、2006年にOSNA™法を用いたがんリンパ節転移検査システム(「遺伝子増幅検出装置RD-100i」、遺伝子増幅検出試薬「リノアンプ™BC」)を臨床用として製品化し、リンパ節転移診断の補助となる検査結果を、約30分で提供することを可能にしました。検査を自動化・簡便化し、操作者の熟練度に依存しない客観的な検査結果を提供することで、病理医の負担軽減だけでなく、診断の均てん化※2や患者さんの負担・QOLを考慮した治療方針の決定に貢献しています。また、OSNA™法を用いた乳がん、大腸がん、胃がん、非小細胞肺がんのリンパ節転移検査システムは、遺伝学的手法を用いた国内唯一のリンパ節転移検査として保険適用を受け、国内では100以上の医療施設に導入されるとともに、海外でも200以上の医療施設でご利用いただいています。
一方、乳がん治療においては、術中にリンパ節転移有無を診断することで切除範囲の決定に役立てられるため、患者さんの術中負荷を軽減するための検査時間のさらなる短縮が望まれています。また、大腸がんや胃がん治療では、手術後の治療方針決定において、患者さんから摘出する多数のリンパ節の転移有無の判定が必要となるため、同時に測定できる検体数の増加が求められています。
このたび発売する新製品「遺伝子増幅検出装置 RD-200」および遺伝子増幅検出試薬「リノアンプ™CK19」は、病理組織学的検査と同等以上の検出精度を維持しつつ、現行のがんリンパ節転移検査システムと比較し、最大同時測定検体数を4から14検体に引き上げるとともに、測定時間を約34%短縮(4検体測定時)しました。市場のニーズに合わせて検体処理能力を向上した新システムの提供により、OSNA™法を用いた乳がん、大腸がん、胃がんのリンパ節転移検査のグローバルでの普及を促進し、検査の質の向上と標準化を目指します。
今後もシスメックスは、OSNA™法によるがんリンパ節転移検査システムのさらなるグローバル展開を図ることで、医療の標準化や患者さんのQOL向上に資する個別化医療の発展に取り組んでいきます。
【製品の概要】
対象市場: | 日本より開始し、順次拡大予定 | |
発売時期: | 2018年7月 | |
測定装置: | ||
販売名: | 遺伝子増幅検出装置 RD-200 | |
機能: | OSNA™法を用いた自動遺伝子増幅・検出 | |
処理能力: | 最大14サンプル/測定 | |
測定時間: | 18分30秒以内(4検体測定) 29分30秒以内(14検体測定) | |
試薬: | ||
販売名: | リノアンプ™ CK19 (一般的名称: サイトケラチン19mRNAキット) | |
使用目的: | 摘出された乳がん、大腸がんまたは胃がん所属リンパ節中のサイトケラチン19mRNAの検出 (乳がん、大腸がんまたは胃がんにおけるリンパ節転移の診断補助) |
【外観】
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遺伝子増幅検出装置 RD-200 | リノアンプ™ CK19 |
【注釈】
※1: | OSNA™法: 当社が開発した直接遺伝子増幅(One-Step Nucleic Acid Amplification)法。リンパ節へのがん転移の有無を判定できる。 |
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※2: |
診断の均てん化: |