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血中循環がん関連遺伝子変異を解析する「OncoBEAM™受託アッセイサービス(研究用)」をドイツ・アメリカに加え日本でも開始

   シスメックス株式会社(本社:神戸市、代表取締役会長兼社長:家次 恒 以下「シスメックス」)は、このたび、BEAMing技術※1を用いて血液中に遊離した腫瘍DNA(血中循環腫瘍DNA、以下「ctDNA」)の変異を解析する「OncoBEAM™受託アッセイサービス(研究用)」について、従来のドイツ、アメリカに加えて、新たに神戸医療産業都市(ポートアイランド)内「シスメックス IMPラボラトリー」における提供を開始します。

 近年、がんなどの診断や治療法選択において、腫瘍など組織の一部を採取して行う生体検査(バイオプシー)の代替として、血液・体液などを用いたリキッドバイオプシーによる低侵襲な検査のニーズが高まっています。リキッドバイオプシーの中でも、ctDNA変異解析は分子標的治療薬※2の効果予測や薬剤耐性のモニタリングなどに有用な指標とされており、臨床有用性の早期確立と臨床検査としての実用化に期待が寄せられています。
 
 シスメックスは、個別化医療に向けたリキッドバイオプシー技術の開発に注力しており、2013年に関連技術を有するアイノスティクス社(現 シスメックス アイノスティクス)を子会社化しました。シスメックス アイノスティクスは、これまでBEAMing技術を用いた血液中に微量に存在するctDNAの検出について、多数の研究機関、大学、医療機関との臨床研究や、製薬企業との分子標的治療薬開発の臨床試験などを経て多くの臨床エビデンスを蓄積してきました。日本国内の研究機関や大学に対しては、同社のドイツ、アメリカ拠点にて「OncoBEAM™受託アッセイサービス」を提供してきた一方で、検体輸送の簡便化や結果報告の時間短縮などのニーズから日本国内における受託アッセイサービス体制の構築が望まれていました。

 このたびシスメックスは、神戸医療産業都市(ポートアイランド)に位置する伊藤忠メディカルプラザ(IMP)内の「シスメックスIMPラボラトリー」において、シスメックス アイノスティクスとの連携のもと、研究機関、大学、医療機関、製薬企業などを対象に、BEAMing技術を用いたctDNA変異解析「OncoBEAM™受託アッセイサービス(研究用)」の提供を2017年12月8日より開始しました。これにより、国内のお客様への検体輸送にかかる負担軽減と、より迅速な結果報告が可能となります。
 まずは、近年、分子標的治療薬開発が活発化する肺がん領域において、主要バイオマーカーとして注目されているEGFR遺伝子変異※3を対象項目としてサービスを開始し、今後、順次項目拡大を予定しています。
 また、シスメックスグループとしてのグローバルな受託アッセイサービス提供体制の構築により、今後、グローバルでBEAMing技術を用いたctDNA変異解析の臨床エビデンスをさらに蓄積し、リキッドバイオプシー検査の臨床検査としての実用化を促進していきます。

 シスメックスは、今後も価値の高い検査の開発と普及を通じ、患者さんのQOL向上や医療の標準化、個別化医療の発展に貢献していきます。
 

 

【参考】 
 2014年10月2日リリース
「個別化医療実現に向けたコンパニオン診断薬開発の新たな国内拠点を神戸ポートアイランドのIMP内に開設」
http://www.sysmex.co.jp/corporate/news/2014/141002.html

   

 

【注釈】
  ※1  BEAMing技術:
Bead, Emulsion, Amplification, and Magneticsの各頭文字を省略したもので、Digital PCR(高感度PCR)技術とフローサイトメトリー技術を融合させた遺伝子解析手法。これにより、血中の微量遺伝子変異を高感度に検出することができる。
 
  ※2 分子標的治療薬:
特定の分子(タンパク質)を標的として創製された治療薬のこと。その多くはがんの分野で開発・上市されており、腫瘍化の原因となるタンパク質の活性を制御する目的で使用される。
 
  ※3

EGFR遺伝子変異:
EGFRは上皮成長因子受容体(Epidermal Growth Factor Receptor)の略称であり、細胞の増殖に関わる因子を認識することでシグナル伝達を行う受容体を指す。EGFRは多くの細胞に存在するが、EGFRを構成する遺伝子に変異が起こることでがん化やがんの浸潤・転移に関わるようになる。

  
以上
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    その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご了承ください。

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