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がん患者の血液中エクソソーム測定法に係わる共同研究開始について

   国立研究開発法人国立がん研究センター(以下「国立がん研究センター」)、株式会社JVCケンウッド(以下「JVCケンウッド」)、シスメックス株式会社(以下「シスメックス」)および第一三共株式会社(以下「第一三共」)は、がんの診断および治療の質向上に資する以下の共同研究を開始しましたので、お知らせいたします。

 本共同研究の対象は、体内の細胞が放出する「エクソソーム」という微粒子です。がん患者さんではがんの特徴を有するエクソソームが血液中に増えていることが近年明らかになってきました。今回の共同研究では、がん患者さんにおいてHER2などの特定のタンパク質をもつエクソソームを測定できるようになることで、治療法や治療効果等の判断を従来の腫瘍組織からだけではなく血液からもできるようになることを期待しています。

 本共同研究における役割分担については、JVCケンウッドは保有するエクソソーム測定装置により特定のエクソソームを検出するための技術を構築し、シスメックスはその評価および遺伝子・タンパク測定技術の活用検討を実施することにより医療現場で活用できるよう発展させ、国立がん研究センターおよび第一三共は、エクソソームの測定データをがん患者さんの診断および治療に有効活用してまいります。

 がん専門の研究機関、電子・診断機器メーカーおよび製薬会社が連携し、この技術を確立することにより、診断のために複数回の組織採取を強いられてきた患者さんの負担を大幅に軽減すると共に、病変部位組織の採取が難しい患者さんへも治療法を提案することを目指してまいります。 

【ご参考】

国立がん研究センター

「がん」の専門機関として、患者さんへの負担が少ない「体液診断」の研究を積極的に進めています。エクソソームの分野では、研究所 落谷孝広分子細胞治療研究分野長の研究グループにおいて、患者血液中のエクソソームを高感度に検出可能なシステムの構築に成功するなど、世界をリードする研究成果をあげており、エクソソームを対象にした体液診断とその臨床応用に関する豊富な経験を有しています。

JVCケンウッド
光ディスク技術を応用したエクソソーム高精度定量システム「ExoCounter」を構築し、事業化へ向けた開発を行っています。このシステムを更に発展させ、がんに由来する特定のエクソソームを高精度に検出する技術を提供することで本共同研究に寄与できると考えています。
慶応義塾大学医学部医化学教室と共同開発

シスメックス
血液や尿、細胞などを採取して調べる検体検査領域において、血球計数検査、免疫、凝固などの分野でグローバルな事業展開をしている強みがあり、今回の共同研究においても、自社が有する遺伝子・タンパク測定技術を活用するとともに、JVCケンウッドの装置を医療現場で活用できるようにするための信頼性確保を含めた開発面で力を発揮できると考えています。

第一三共
抗がん剤の研究開発に力を入れており、これらの治療薬が、副作用のリスクを減らし、高い効果を示す患者さんを薬剤投与前に選別できる方法や、治療効果を血液中の成分で判定できる方法を探索しています。エクソソームはそういった情報を得るための情報源として注目しています。
 

  
 

 

以上
  • プレスリリースに掲載されている情報は、発表日現在の情報です。
    その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご了承ください。

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