シスメックス株式会社(本社:神戸市、代表取締役社長:家次 恒 以下「シスメックス」)は、神戸市西区にタンパク質の生産拠点を設置し、タンパク質生産サービス事業を強化することを決定いたしました。総投資額は約5億円で、2012年10月から生産稼動いたします。
先進国では高齢化の進展や医療ニーズが多様化し、新興国では経済発展に伴い医療インフラ整備が進むなど、ヘルスケア市場は拡大しています。また、医療における技術革新、個別化医療への関心の高まりにより、近年では、抗体医薬などのバイオ医薬品の需要も増加しています。医薬品開発や医薬品検査向けタンパク質の国内の市場規模は、推定約100億円であり、今後さらなる拡大が見込まれています。
シスメックスは、2011年4月1日に片倉工業株式会社から生物科学研究所を譲受し、ノンヘマトロジー分野の診断薬原料を開発・生産するとともに、カイコを用いた遺伝子組換え技術によりタンパク質を生産し、一部を製薬企業などに医薬品開発や医薬品検査用として提供してきました。
このたび、タンパク質生産サービス事業の強化に向けて、カイコを用いた遺伝子組換え技術によるタンパク質に特化した生産ラインを新たに導入し生産能力を増強します。これにより、生産能力を現在の約3.5倍に引き上げ、1年間あたり1,000種類以上のタンパク質の生産が可能になり、かつ大量生産にも対応できます。
本サービスでは、製薬企業の創薬研究部門などに対して、カイコを用いた遺伝子組換え技術により、短期間で複雑なタンパク質の発現から精製までを一貫して提供します。さらに、お客様が高い確率で希望するタンパク質を確保できるように、発注する前にタンパク質の機能を確認できる仕組みを新たに取り入れています。
また、当社のタンパク質に関する高い専門性を生かしたコンサルティング提案は、より多くのお客様に多種多様なタンパク質を提供することを可能とし、医薬品の開発期間のスピード化と開発工程の効率化に寄与します。
今後は、グローバルでの事業展開も視野に入れており、医薬品開発や医薬品検査向けのタンパク質の提供から、臨床検査用タンパク質、バイオ医薬品用原料タンパク質、タンパク質分析データなどをお客様に提供し、医薬品市場での新薬開発などに貢献していきます。
【タンパク質生産サービスの概要】 | |
名称: | ProCube(プロキューブ) |
対象地域: | 日本 |
売上目標: | 3億円(2012年度) |
特長: | サンプル提供によりタンパク質の機能確認後に発注が可能 多品種、大量生産にも対応 |
サービスの流れ:
【タンパク質生産拠点の概要】 | |
所在地: | 神戸市西区(西神南) |
延床面積: | 約1,100㎡ |
従業員数: | 20人(計画) |
生産能力: | 1,000種類以上/年 |
総投資額: | 約5億円 |
稼働予定: | 2012年10月 |
その他: | バイオセーフティーレベル※2 2(BSL-2)に準拠 |
【用語解説】 | |
※1: | cDNA |
コンプレメントリーDNAの略で、相補DNAともいう。mRNAの塩基配列と相補配列をもつDNAでmRNAを鋳型にRNA依存DNAポリメラーゼを用いて合成される一本鎖であるが、通常二本鎖にして増やして用いる場合が多い。ノーザンブロッティング(Northern blotting)その他、分子生物学、分子栄養学の研究に多用される。 | |
※2: | バイオセーフティーレベル |
バイオセーフティーレベル(BSL-1、2、3、4)とは、細菌・ウィルスなどの微生物・病原体等を取り扱う実験室・施設の格付け。レベル1が低く、レベル4が最も高い。 |
片倉工業株式会社の生物科学研究所の譲受については、以下のリリースをご参照ください。
http://www.sysmex.co.jp/corporate/news/2011/110224b.html
以上