ストーリー

経営陣が語る「シスメックス×ESG」

〜成長戦略に紐づくサステナビリティ経営のかたち〜

シスメックスは、「より良いヘルスケアジャーニーを、ともに。」という長期ビジョンを掲げ、その実現に向けてスタートさせた新しい長期経営戦略ではサステナビリティを重視した経営を推進しています。すべてのステークホルダーに揺るぎない安心と価値を提供する私たちの挑戦について、社長および、各テーマの担当役員が語ります。




長期ビジョンを実現し、企業価値を向上させ、
世界中の人々の健康寿命の延伸、循環型社会の実現、
社会価値創造に貢献します


代表取締役社長
浅野 薫

創業以来変わらない、「安心」を追求する精神

シスメックスは創業以来、お客様、取引先、従業員への「三つの安心」を提供することを大切にしてきました。その姿勢は現在においても変わることなく、むしろその重要性はさらに増しています。グループ企業理念「Sysmex Way」および「Shared Values」においても、株主様と社会を加えたステークホルダー全般を意識した経営、事業活動を通じて「安心」の提供に努めていく方針をうたっています。
 

新たな長期経営戦略のもと、サステナビリティ経営の実践を目指す

2023年度より新たに掲げた長期ビジョン「より良いヘルスケアジャーニーを、ともに。」とその実現に向けた新しい長期経営戦略2033「VA33」(Value Advance 2033)が始まっています。VA33では、成長戦略として、既存事業の強化、新規事業の拡大に加え、新興国の市場ニーズに適した製品の開発・販売を進めています。

一方、これらをサステナビリティ経営の観点から見れば、当社の優先的に取り組むべき課題(マテリアリティ)として設定しているイノベーションを通じた医療課題の解決や医療アクセス向上の取り組み、そして、それらを支える人材育成やガバナンスの強化などを推進することになります。 

すなわち、当社の成長戦略にサステナビリティは統合され、表裏一体をなすものです。
 

▶ 経営戦略
▶ マテリアリティ

経営資源から社会・環境への提供価値が生まれるまでのストーリー

VA33に合わせて刷新した価値創造ストーリーでは、無形資産を含めた経営資源を活用し、事業領域の拡大を図りながら、「事業」「技術」「人的資本」「コーポレートマネジメント」「エコソーシャル」の5つの要素で構成される基本戦略のもとで成長していくことを目指します。 基本戦略では従来の人材戦略を人的資本戦略に進化させて、その価値を最大限に発揮していくことで、企業価値向上を実現します。また、新たにエコソーシャル戦略を策定し、戦略的に環境・社会への価値創造を行うことで、新たな競争優位性につなげます。 

この基本戦略を遂行することで長期ビジョンを実現し、最終的には、世界中の人々の健康寿命の延伸、循環型社会の実現、社会価値の創出に貢献してまいります。
 

マテリアリティ「健康社会への新たな価値創出」と「ガバナンスの強化」の取り組み

当社では、持続可能な社会の実現およびシスメックスの持続的な成長に向けて、5つのマテリアリティを掲げ、アクションプランに展開して取り組みを推進しています。

その中の「健康社会への新たな価値創出」では、新たな検査・診断技術の開発を通じて、医療の諸課題の解決を目指します。例えば、認知症を早期に診断するために血液からアルツハイマー病を検査する技術の開発や、薬剤耐性(AMR)対策への貢献として、細菌の有無および抗菌薬の有効性を判定する迅速薬剤感受性検査システムを提供しています。

「ガバナンスの強化」では、取締役会の任意委員会である指名・報酬委員会の両議長を独立社外取締役とし、その過半数を独立社外取締役で構成とするほか、執行役員の多様性も重視し、経営の透明性・健全性を図っています。また、サステナビリティ目標を設定し、その進捗と課題を半年に一度、取締役会に報告し討議することで、サステナビリティ経営の推進と経営品質の向上に努めています。
 

  • 薬剤耐性(Antimicrobial Resistance: AMR)とは、生物が自分に対してなんらかの作用をもった薬剤に対して抵抗性を持つことで、これらの薬剤が効かない、もしくは効きにくくなる現象。この薬剤耐性を獲得した細菌のことを薬剤耐性菌という。この細菌の有無および抗菌薬の有効性を迅速に判定する検査システム

▶ マテリアリティ

 




人的資本戦略の推進と目標の達成を通じて、
高い付加価値生産性と、
一人ひとりの自己実現を目指します

取締役
専務執行役員 立花 健治

従業員への「安心」、そして人的資本強化による長期ビジョンの実現

「安心」は、創業以来、常に当社のコアとなる言葉です。当社の企業理念である「Shared Values」では、各ステークホルダーの皆様に対する具体的な提供価値を宣言しており、その中には全て「安心」という言葉が含まれています。従業員に対しては、「多様性を受け入れ、一人ひとりの人格や個性を大切にすると共に、安心して能力が発揮できる職場環境を整えること、自主性とチャレンジ精神を尊重し、自己実現と成長の機会、成果に応じた公正な処遇を提供すること」をうたっています。

長期ビジョン「より良いヘルスケジャーニーを、ともに。」を実現するためには、事業・技術の戦略の方向性として、市場と組織能力の二つの軸で新しい領域を追求していくことが求められます。新しい領域であればあるほど、より新しい専門性、これまでと異なる意識の持ち方やより高いチャレンジ精神が必要です。さらに、市場がグローバルに拡大する状況を鑑みても、人的資本の強化はもはや必須のものと言えるでしょう。持続的な成長のためには、人材を人的資本として認識し、継続的に投資し続けることが不可欠です。
 

人材の適切な配置、高いエンゲージメント、最高のチームワークが、付加価値生産性向上と一人ひとりの自己実現につながる

人的資本戦略では、「人材ポートフォリオの最適化」、「高いエンゲージメント」、「最高のチームワークの発揮」を目指す姿に掲げています。



人材ポートフォリオの最適化とは、企業の持続的な価値向上を実現するための戦略を推進するうえで、組織にとって必要なスキルや専門性を定義し、そこに人材が適切に配置されていることを指します。VA33が目指す事業領域や機能、そして、必要となるスキルや専門性、ダイバーシティの要素など、多面的な視点での組織づくりに取り組んでいます。
 
また、従業員一人ひとりが心身ともに充実し、個々の働きがいが実現されている状態を目指し、そのための個々のウェルビーイングを向上させる職場環境の構築や、従業員の成長機会を提供していきます。さらに、公平かつ公正な機会の提供や、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)の取り組みを推進するほか、時間、場所、雇用形態に関わらず、多様な人材が活躍できる仕組みを構築し、従業員のエンゲージメントの向上を目指してまいります。
 
最高のチームワークを発揮するためには、自主性を尊重し、チャレンジを促進する企業風土と豊富なリーダー層の確保・育成が重要です。グローバルでキーポジションとなる後継者の可視化や育成機会を充実することで、既存事業と新規事業をけん引するリーダーを持続的に確保・育成していきます。
 

 


エコソーシャル戦略の実践が、
ステークホルダーの「安心」の好循環を生み出します


取締役
常務執行役員 小野 隆

ステークホルダーと共にグリーンイノベーションに挑戦し、循環型社会の実現を目指す

VA33では、エコソーシャル戦略が新たに基本戦略に組み込まれました。事業活動と社会課題への取り組みのベクトルを合わせ、4Rのグリーンイノベーション、医療課題の解決、品質の向上、環境配慮への対応強化など、より高次元での資源循環型のバリューチェーンの実現や社会課題解決への変革を進めていくことが求められています。
 
2033年度までのサステナビリティ目標には、自社製造品における廃棄をゼロにするプロダクトロスのゼロ化と、容器と包装材のリサイクル・環境配慮材による完全代替を新たに掲げています。グループ従業員一人ひとりが環境負担を減らすること、当社製品とサービスの提供そのものが環境・社会への価値提供につながること、その両輪で進めていくことが重要です。
 
  • シスメックスが考える4Rとは、Reduce(減らす)、Reuse(再利用)、Recycle(リサイクルする)、Replace(置き換える)

▶ 環境マネジメント 

エコソーシャル戦略から生まれる独創性と安心

エコソーシャルの観点を当社の製品・サービスに組み込むことで生み出されるもの、それは「Sysmex Way」の根源的な価値である独創性と安心です。

具体的な事例として、当社が開発した濃縮試薬では、従来製品と比較すると輸送時のCO2と廃棄量の削減に加え、試薬交換に伴う臨床検査技師の方々の作業負荷の低減を実現しました。また、業界初となる遺伝子検査用試薬のドライアイスフリー輸送では、CO2削減と同時に、超低温による凍傷や炭酸ガス発生による中毒から医療従事者を守ることができます。
 
また、ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・ワールド・インデックスなど世界的なサステナビリティインデックスの構成銘柄に採用されるなど、様々なステークホルダーの皆さまからも高い評価を受けています。

エコソーシャルに貢献する製品やサービスが当社の持続可能な成長にもつながる

開発、生産、物流から販売の各段階での環境負荷を低減し、製品自体も環境負荷が低いことは、選ばれる理由の一つになり得る——。その観点から製品のグリーンイノベーションを推進しています。グリーンイノベーションの取り組みは、環境負荷低減などエコソーシャル面での価値提供と、持続的な競争優位性や原価低減により事業成長に貢献していくものと確信しています。


▶ ストーリー | 持続可能な社会の実現に向けた環境への取り組み


シスメックスは、資源循環型社会の実現にグループ一体で取り組み、当社製品とサービスの提供そのものが環境・社会への価値提供につながることで、世の中から選んでいただける存在となり、事業成長と企業価値向上を実現していく、そのようなエコソーシャル戦略の実践に挑戦しています。
 
シスメックスは、ステークホルダーの「安心」の好循環を創出していくことに、これからも全力で取り組んでまいります。
 

関連情報

  • ストーリーに掲載されている情報は、発表日現在の情報です。
    その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご了承ください。

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