マッチドペア検査とは
1人ひとり顔が違うように、正常な細胞が持つ遺伝子も人によって違う部分、つまり「生まれつきの遺伝子の違い」があります。NCCオンコパネルでは、がん細胞の遺伝子と正常な細胞の遺伝子の両方を調べ比較する「マッチドペア※」という検査法を用いています。
「マッチドペア検査」を行うことによって、正常な細胞の遺伝子にも生じている「生まれつきの遺伝子の違い」と、がん細胞の遺伝子のみに生じている「がんの遺伝子変異」を区別することができます。
※T/Nペア検査とも呼ばれます。
遺伝性腫瘍について
※「ご理解いただきたいこと」をあわせてご覧ください
がん細胞の遺伝子のみに生じている「がんの遺伝子変異」は、遺伝することはありません。
一方で、「生まれつきの遺伝子の違い」の中に「がんになりやすい遺伝子の型」を持っている場合は、50%の確率で次の世代へ遺伝します(下図)。この「生まれつきのがんになりやすい遺伝子の型」を持っていると、がんを発症しやすくなります。このがんを「遺伝性腫瘍」と言います。
マッチドペア検査では、予期せず「生まれつきのがんになりやすい遺伝子の型」が見つかる場合があります。
検査の流れ
主治医からの検査説明
主治医からの検査の説明をうけ、内容を十分に理解した上で、検査をうける場合は同意書にサインします。本検査の結果をがんゲノム情報管理センター(C-CAT)※に送付し、診療に役立てること、研究・開発へ利用することについての同意の確認もあります。 同意された場合には、C-CATに「がん遺伝子パネル検査」の結果や診療情報が登録されます。
※ C-CATは治療に有効な情報をまとめた「C-CAT調査結果」を医療機関に発行します。
検体採取と解析
手術や生検によって得られたがん組織検体と採取した血液検体を国内のラボに送り、解析します。
治療方針の検討
検査結果が病院に届くと、「エキスパートパネル※ 」と呼ばれる検討会が行われ、検査結果やC-CAT調査結果から候補となる治療法が議論されます。
※ エキスパートパネル:がんや遺伝子検査などの専門家で構成される検討会。
治療方針の説明
エキスパートパネルでの議論の結果が主治医から伝えられ、その後の治療方針を相談できます。なお、検査結果の返却は、エキスパートパネルおよび各病院の規定に従って判断されます。
ご理解いただきたいこと
治療に役立つ情報が得られない可能性
検査をして、がん細胞の特徴を知ることで、それに適した治療法を選択することができる可能性があります。一方で、検査をしても、あなたの「がん」の治療に役立つ情報が得られないこともあります。
遺伝性腫瘍について
遺伝性腫瘍の可能性を知ることで、あなたやご家族が、がんの予防やがんの早期発見ができる可能性が高まると考えることもできます。遺伝性腫瘍に関する結果は、あなたの「知る権利」「知らないでいる権利」が尊重されます。
詳しい説明をご希望の場合は主治医にご相談ください。ただし、本検査の遺伝性腫瘍に関する結果は参考情報です。
個人情報の取り扱い
本検査は国内のラボにて行われます。
本検査をうけるためにラボへ送るあなたの情報や検査結果などは、個人情報保護法に則り、個人を容易に特定できない形で適切に取り扱われます。
検査可能医療機関
保険診療下でのがん遺伝子パネル検査は、全国の「がんゲノム医療中核拠点病院」、「がんゲノム医療拠点病院」、「がんゲノム医療連携病院」で行われています。
「がんゲノム医療中核拠点病院」、「がんゲノム医療拠点病院」は、専門家が集まって遺伝子解析結果を検討する委員会(エキスパートパネル)を開催できるなどの基準を満たした病院です。
また、がんゲノム医療中核拠点病院またはがんゲノム医療拠点病院と連携してがんゲノム医療を行う「がんゲノム医療連携病院」も指定されています。
がん遺伝子パネル検査をご希望される場合は主治医とご相談ください。
詳しくは以下をご覧ください。
安心して検査を受けていただくために
検査の費用や期間など、検査についてわからないことや
不安に思うことがあれば遠慮なく主治医の先生にご相談ください。
参考文献
小冊子:OncoGuide™ NCCオンコパネル システムの検査について知ってほしいこと(非売品)
監修:角南 久仁子先生(国立がん研究センター 中央病院)