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2013年Vol.14 No.3
総説油野 友二
金沢赤十字病院 検査部
尿検査の歩みは,尿という生成物から観えざる体内の変化を把握しようとした先人の英知と努力によって築かれてきた.尿検査はスクリーニング検査であるが,その目的は膿尿・細菌尿による尿路感染症の有無,血尿・蛋白尿による腎尿路系疾患の推定,糖尿・ケトン尿などによる代謝性異常の有無,その他として結晶尿や寄生虫他の有無など全身の多くの疾患に直結したものである.
その中で,血尿とは尿に赤血球が混入した状態であり,腎・泌尿器系疾患の診断のための重要な症候である.2006年,血尿の診断に関わる日本泌尿器科学会,日本腎臓学会,日本小児腎臓学会,日本臨床検査医学会,日本臨床衛生検査技師会の5学会により,健康診断などで見いだされる尿潜血反応陽性者の診療ガイドラインとして,血尿診断ガイドラインが策定された.この背景には,高齢女性では検診での尿潜血反応陽性の頻度は高く,内科的腎臓疾患を含め種々の疾患の診断契機になる尿潜血反応陽性者に対して,医療経済効率を考慮し,且つ健康を守るためにどのように診断を進めていけばよいのかを提案することは,大切な社会的意義を持っているとの強い意思表示があった.
今回,エビデンスに基づくクリニカルクエスチョン( CQ ) 方式による改訂作業が行われ,2013年5月に発刊された.本稿ではその概要と尿検査の位置づけについて,尿中有形成分分析情報の活用も含めて解説する.
尿検査, 血尿, ガイドライン
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