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2011年Vol.12 No.3

論文

XE-2100における幼若血小板比率 ( IPF )測定の基礎的検討 - 抗凝固剤と保存条件の影響 -

著者

柴山 正美*1, 高見 昭良*2, 朝倉 英策*3, 桂 三智子*4, 二飯田 佳代子*1, 和田 隆志*1

*1 金沢大学附属病院 検査部
*2 金沢大学附属病院 輸血部
*3 金沢大学附属病院 高密度無菌治療部
*4 福井済生会病院 検査部

Summary

幼若血小板比率 ( IPF ) は多項目自動血球分析装置XE シリーズで測定できるパラメータである.今回の検討では,このIPF測定に使用できる抗凝固剤の種類や検体の保存条件を調べた.EDTA-2K,ヘパリン,クエン酸ナトリウムの3種類の抗凝剤による末梢血を用い,健常参考値,同時再現性,希釈直線性,採血後経時変化を検討した.健常参考値は,EDTA 加血 ( 0.54~ 4.72% ),クエン酸加血 ( 0.52 ~ 5.52% ) では同等であったが,ヘパリン加血のみ ( 0.80 ~ 14.80% ) 分布が異なった.

同時再現性はEDTA 加血のみCV が11.0 ~ 13.9%と良好であった.IPF 測定値においてEDTA 加血の希釈直線性では,希釈率0.2まで良好な結果が得られた.IPF 測定値の経時変化に関しては,ヘパリン加血では血小板凝集の影響によるIPF の急激な上昇をみとめた.EDTA およびクエン酸ナトリウム加血では経時的に徐々に上昇したが,8時間以内であれば測定値への影響はほとんどなかった.

以上の結果より,XE-2100 によるIPF 測定はEDTA 加血検体を用い,採血から8時間以内に測定する必要がある.ヘパリン加血・クエン酸加血検体は,IPF 測定に不向きである.

Key Words

幼若血小板比率 ( IPF ), 抗凝固剤, 経時変化