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個別化医療に向けた新たなビジネス領域拡大のために英国企業を買収

~ライフサイエンス事業のポートフォリオ拡充と技術基盤強化~

 シスメックス株式会社(本社:神戸市、代表取締役会長兼社長:家次 恒 以下「シスメックス」)は、このたび英国のOxford Gene Technology IP Limited(本社:英国 オックスフォードシャー州、CEO:Michael Evans、以下「OGT社」)と、同社の全株式を取得(以下「本買収」)することに合意し、契約を締結しましたのでお知らせします。OGT社が保有する細胞遺伝学検査※1領域での事業やノウハウ、および次世代シーケンサー(以下「NGS」)※2用の試薬開発力を獲得することにより、ライフサイエンス事業の基盤を強化します。

 OGT社は、サザンブロッティングハイブリダイゼーション法※3を開発したEdwin Southern教授が1995年に創業し、22年の歴史を持つ、遺伝子解析技術のパイオニア企業です。同社は細胞遺伝学検査領域におけるFISH※4(Cytocell®)事業、アレイCGH※5(CytoSureTM)事業、ならびにNGS用試薬(SureSeqTM)事業を保有しています。
 FISH事業では、高品質な約430種類のFISHプローブ※6を提供しています。またアレイCGH事業では、先天性異常などの遺伝子疾患の検査に用いられるアレイ製品を提供しており、いずれの製品群も市場から高く評価されています。さらにNGS用試薬事業では、がん診断パネルおよびその測定の前処理に用いられる試薬を提供しています。

 シスメックスは、ライフサイエンス事業において、疾患の発症や再発リスク、治療効果予測などへの応用が期待される遺伝子測定技術の研究開発を推進してきました。このたび、ライフサイエンス事業のさらなるポートフォリオの拡充と技術基盤の強化を目的として、OGT社を完全子会社化します。
 本買収により、細胞遺伝学検査市場では、シスメックスの保有するフローFISHなどの自動化技術と、OGT社の保有する高品質な試薬開発力の融合により、ユニークなソリューションを提供します。さらに、OGT社の保有するNGS試薬開発力の獲得を通じて、ゲノム医療における技術基盤を強化します。
 今後もシスメックスは、価値の高い検査の提供を通じ、患者さんのQOL向上や医療の標準化、個別化医療の発展に貢献していきます。

 なお、今後2017年6月を目途に買収手続きが完了する予定です。本買収による当社連結業績への影響は軽微です。 

【OGT社の概要】
  名称:  Oxford Gene Technology IP Limited      
  所在地:
創業者
英国 オックスフォードシャー州 
Professor Sir Edwin Southern
  代表者: Dr. Michael Evans
  事業内容:

資本金:
細胞遺伝学検査に用いる診断および研究用試薬の開発、製造、販売
ならびにNGSに用いる研究用試薬の開発、製造、販売
414ポンド
  設立: 1995年
  売上高: 19.7百万ポンド (2016年9月期)
     

【注釈】  
  ※1  細胞遺伝学検査:
(Cytogenetics)
細胞遺伝学は染色体の研究、特に染色体異常に起因する疾病に関連する研究を指す。研究・検査は通常、白血球細胞、羊水、あるいは組織標本を使って行われ、Gバンド法による核型検査とFISH法を基本とする。その他に重要な手法にはマルチカラーFISH(多色FISH)法や比較ゲノムハイブリダイゼーション法(Comparative Genomic Hybridization、CGH法)などがある。
 
     
  ※2

 
次世代シーケンサー:
(Next-Generation Sequencer)
遺伝子情報を持つDNAの塩基およびこの配列を、同時並行で大量に読み取る解析装置。
 
  ※3
 
サザンブロッティングハイブリダイゼーション法:
(Southern Blotting Hybridization)
Edwin Southern教授 が発明した、DNAの解析手法(J. Mol. Biol., 98, 503-508)。
サザンブロッティング (Southern Blotting) とは、DNAのアガロースゲル電気泳動のパターンをフィルターに固定化し解析、同定するための手法であり、サザンハイブリダイゼーション(Southern Hybridization) は、核酸の相補性を利用して目的遺伝子あるいは塩基配列を検出する方法である。多数存在するDNAの集合体から、特定の遺伝子のみ検出、解析することが可能となる。
 
  ※4
 
FISH:
(Fluorescence In Situ Hybridization)
特定の遺伝子にだけ結合する蛍光物質を使って染色体の中にある目的の遺伝子を検出する方法。
FISHによる検査は、がんや白血病の遺伝子検査として認知されており、世界保健機関(WHO)の下部組織である国際がん研究機関が定める腫瘍分類の規約(WHO分類)に収載されている。
     
   ※5  アレイCGH:
     (Array Comparative Genomic Hybridization)
染色体検査の手法の一つであり、染色体の異常が疑われる検査サンプルに対し、正常な DNA の量や配列と比較して両者の差から異常を判定する手法。
アレイCGHによる検査は、2013年、米国遺伝子検査の主要なガイドライン(American College of Medical Genetics and Genomics; Standards and Guidelines 2013)に収載されている。
 
  ※6 プローブ:
(Probe)
特定のDNAと相補的な塩基配列で構成され、検出する対象となるDNAと結合するように人工的に作製された塩基配列。目的のDNAがどこに存在しているかを検出する際に使用される。

                                                                     以上
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    その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご了承ください。

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