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JVCケンウッドとエクソソームを対象とした診断機器の共同開発を開始

 シスメックス株式会社(本社:神戸市、代表取締役会長兼社長:家次 恒 以下「シスメックス」)と株式会社JVCケンウッド(本社:横浜市、代表取締役会長:河原 春郎、代表取締役社長:辻 孝夫 以下「JVCケンウッド」)は、がんなどの検査に有用なエクソソームを対象とした診断機器を共同で開発することを決定しましたので、お知らせします。

 エクソソームは、多くの種類の細胞から分泌される約50~100nmの小胞顆粒であり、血液、唾液、尿などの体液中に存在しています。エクソソームにはタンパク質、mRNA※1、マイクロRNA※2など種々の物質が内包されており、それらががんなどさまざまな疾患のバイオマーカーになると近年期待されています。

 シスメックスとJVCケンウッドは、両社が培ってきた高い技術力や経験を結集し、エクソソームを対象としたこれまでにないユニークで高性能な診断機器を共同開発することに合意しました。両社は本共同開発を通して、現在は難しいがんの早期発見や、患者さんに応じた個別化医療を実現するための、先進的で画期的な検査・診断技術の創出に取り組みます。

 JVCケンウッドは、従来型の製造販売業からお客様へソリューションを提供する「顧客価値創造企業」への転換を推進しており、 画像診断やサージカル支援(手術現場におけるさまざまな支援)をはじめとしたヘルスケア事業の本格展開をはかっています。その一環として、独立行政法人科学技術振興機構(JST)による研究成果展開事業(先端計測分析技術・機器開発プログラム)を活用し 、DVD / Blu-rayなどの開発によって蓄積した技術を応用することで、エクソソームの検出、計数を可能とする、ナノビーズ※3を利用した光ディスクに関する技術開発を進めてきました。JVCケンウッドは、本共同開発による全く新しい事業領域への取り組みにより、今後のさらなる成長を目指します。
 シスメックスは、検体検査機器・試薬・ソフトウェアの研究開発から製造、販売・サービス&サポートを一貫して行う総合メーカーとして、がん、慢性疾患をはじめとするさまざまな疾患領域においても、価値の高い検査・診断技術の創出に向けた研究・技術開発を推進しています。また、そのために、血液を用いた検査であるリキッドバイオプシー※4を実現するための検体検査技術プラットフォームの拡充を進めてきました。

 本共同開発においては、JVCケンウッドはナノビーズを利用した光ディスクに関する技術を生かして、血液中のエクソソームを捕捉・計数する装置の開発を行い、シスメックスは、保有する遺伝子およびタンパク質などの高感度測定技術を利用して、そのエクソソームに内包されている物質を測定する装置の開発を行います。
 将来は、共同開発した製品について、臨床研究を経て、身体的に負担の少ない血液を用いたがんの早期発見などに役立てることを目指します。

 シスメックスとJVCケンウッドは、患者さん一人ひとりに最適な医療を提供するために必要となる価値の高い検査の実現に向け、両社の技術のシナジーを最大限に発揮し、より緊密に本共同開発を推進してまいります。

 


※1  mRNA: mRNA(messenger RNA)は、DNA配列情報からタンパク質合成の遺伝情報を写し取って伝えるRNAである。
※2 マイクロRNA: マイクロRNA(miRNA)は20塩基程度の長さの1本鎖RNA分子であり、生命現象の微調整役として多くの遺伝子やタンパク質の発現制御に関っている。近年、エクソソームに内包されているmiRNAは、血液中の酵素による分解を免れるため安定であり、様々な疾患の病態や進行度合いによって量や種類が大きく変化するため疾患の診断に有用であることから、注目を集めている。
※3 ナノビーズ: 大きさがナノメートル(nm、100万分の1ミリメートル)オーダーのビーズであり、本技術で使用するものは直径200nm程度である。ビーズの表面にはエクソソーム上の物質に結合する抗体が固相化されており、これにより目的とするエクソソームを特異的に検出することを可能としている。
※4 リキッドバイオプシー: 血液などの体液から、がん等の疾病の検査を行うこと。従来のバイオプシー(生検)に比して、低侵襲性で検査を行うことができる。

以上
  • プレスリリースに掲載されている情報は、発表日現在の情報です。
    その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご了承ください。

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