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IRDパネル検査を検討される方へ

遺伝性網膜ジストロフィの患者さんを対象に遺伝学的検査が実施できるようになりました。このページでは遺伝学的検査について説明していきます。これらの情報が、遺伝学的検査をより深く知るきっかけとなり、患者さんに合った検査の選択や治療の相談に役立つことを願います。

各項目をクリックすると、その説明箇所が表示されます。

遺伝性網膜ジストロフィ(IRD)の治療

遺伝形式が明らかになり、より的確な遺伝カウンセリングが受けられます。

例えば、遺伝性の病気であることがわかったことで、子供をもうけることに不安を抱く場合があるかもしれません。しかし、実際に遺伝子検査を実施してみると遺伝する可能性がとても低い遺伝子の異常が原因である場合もあります。
原因遺伝子がわかることで、遺伝に関する専門家がより的確な遺伝カウンセリングを実施することができ、患者さんのご判断を助けることができたり、不安の軽減につながる可能性があります。

遺伝子治療

患者さん個々人の発症原因となっている遺伝子に合わせた治療方法も検討されています。遺伝子治療はそのうちのひとつです。
2023年、日本でも一部の遺伝子変異で遺伝子治療が開始されます。

個々に合ったロービジョンケア

遺伝子検査の結果によって、より個人に沿ったロービジョンケア計画が策定できます。
今ある視機能を最大限に生かして快適な生活を送るための支援、日常生活や移動、就労や就学など様々な困りごとに対する相談をすることができます。

遺伝子治療の可能性について

遺伝子治療を受けられる可能性があります。

RPE65が原因遺伝子の場合、治療が受けられる場合があります。
2023年6月に国内初の遺伝子補充療法の薬剤が承認されました。
この治療は、遺伝子の異常がある患者さんへ正常な遺伝子を導入する治療法であり、治療により症状の改善が期待できる画期的な治療です。

しかしながら、患者さんに生存網膜細胞が残っていないと治療効果が期待できないこともあり、網膜の萎縮が進行していない早期の段階でRPE65遺伝子異常を検出することが重要になります。

遺伝子治療の一例のイラスト

ロービジョンケア

ロービジョンケアとは

私たちは視覚から様々な情報を得ています。病気やけがなどで視力が低下したり、目の調子がよくないときには眼科を受診されると思います。現在、眼科医療は日々発展し、新しい治療や手術などが発達しているので、適切な治療を受けて元通りの状態に回復する方も多いです。
しかし、一方で、病気や進行具合により完全な回復が難しく、日常生活や社会活動に支障があり困難を感じている方もおられます。特に問題になるのは、情報入手、移動、コミュニケーションです。ロービジョンとは、成長・発達あるいは日常生活・社会生活に何らかの支障をきたす視機能または視覚のことをいいます。

ロービジョンケアとは、ロービジョンの方に対して様々な面から行われる支援の総称です。医療的・教育的・職業的・社会的・福祉的・心理的な支援を包括的に表現したものであり、発達・成長期である子どもに必要なリハビリテーションや、大人の中途障害に対応するリハビリテーションが主な目的となります。

ロービジョンケアの一例

  • よりよく見る工夫→として視覚補助具・照明
  • 視覚以外の感覚の活用→として音声機器・解読機器
  • 情報入手手段の確保→としてラジオ、パソコン
  • その他の生活改善→として点字図書館、生活訓練施設
  • 進路の決定→として特別支援学校、職業訓練施設
  • 福祉制度の利用→として身体障害者手帳、障害年金
  • 視覚障害者同士の情報交換→として関連団体、患者交流会

ロービジョンケアに関わるのはどんな人?

眼科医師、視能訓練士、看護師に加え、実際のロービジョンケアには、教育・福祉・補助具等販売店などの役割がとても大きく、多分野の連携が必要とされます。

ロービジョンケアの進め方

皆さんが受診される眼科は主に、目が
見えづらくなった患者さんのロービジョンケアへの「窓口」の役割を担っています。患者さんの目の状態を確認し、必要としている支援やサービスへの橋渡しを行うのが、ロービジョンケアにおける眼科の主な役割とされています。
まずは、治療を受けている医療機関やロービジョンケア施設でご相談ください。

ロービジョンケア施設一覧

ロービジョンケアを行っている施設の医療機関名、所在地、電話番号等が記載されています。各施設によって受診時の条件が異なりますので、備考欄に記載されている内容を必ずお読み下さい。

参考文献

監修

近藤 峰生先生(三重大学大学院医学系研究科・医学部 眼科学)
前田 亜希子先生(神戸市立神戸アイセンター病院 研究センター)