製品・サービスを通じた医療課題解決

事業活動を通じた医療課題解決

さまざまな技術の融合を生み出す研究開発体制

シスメックスは、遺伝⼦・タンパク・細胞を分析対象とした技術プラットフォームを開発し、これらを多角的に活用して、患者さんに役立つ新たな検査・診断技術を創出します。研究開発の中核拠点であるテクノパークでは、多彩な分野の研究者および技術者が連携・協働し、お客様のニーズにお応えする機器、試薬、ソフトウェアの研究開発に取り組んでいます。2019年4月にはバイオ診断薬拠点「テクノパーク イーストサイト」を開設し、そのうちの一施設「バイオポート」では、診断薬の原材料開発、診断薬の分析機能を有し、診断薬の高機能、高品質化に加え、開発のスピードアップに貢献します。また、米国やドイツなどにも研究開発拠点を設置し、グローバルな研究開発体制を構築しています。

さらに、オープンイノベーションにより、国内外の研究機関や大学、医療機関とのコラボレーションを促進しています。その一環として、テクノパーク内に社外の研究者との共同研究開発を行うオープンイノベーションラボを設置し、個別化医療の実現に向けた研究開発を進めています。

がんゲノム医療の取り組み

近年がん治療では、確定診断に加え、薬剤の効果予測や再発モニタリングなどを目的に、遺伝子やタンパク質を用いた多くの検査が行われています。なかでも、がんクリニカルシークエンシング検査は、がん組織中の数百からなる複数の遺伝子を一度に測定し、その患者さんのがん固有の遺伝子異常を網羅的に解析(プロファイリング)し、がんの診断や治療、抗がん薬の選定に役立つ有用な情報を提供することが可能となります。

シスメックスは、国立研究開発法人国立がん研究センターと共同で開発したがんゲノムプロファイリング検査用システム「OncoGuide™ NCCオンコパネル システム」が、先駆け審査指定品目として厚生労働省より指定を受けた後、日本で初めて製造販売承認を取得しました。2019年1月に発売し、理研ジェネシスによるアッセイサービス(受託解析サービス)を開始しました。また、がんゲノムプロファイリング検査用システムとして、日本で初めて2019年6月1日付で保険適用を受けました。今後は、保険診療下で検査が可能となり、より多くのがん患者さんに対して受診機会が拡大することが期待されます。

患者さんの負担を軽減する検査の提供

レボヘムFIX 合成基質

血友病は凝固因子が不足し止血異常を引き起こす疾患で、診断、治療モニタリングには凝固因子の定量検査が必要です。従来から広く実施されてきたAPTT※1試薬を用いる検査では、用いる試薬の種類によって測定値が一致しないケースがあることが知られており、近年は合成基質法による検査が求められています。また合成基質法は、静脈注射の回数が減ることで患者さんへの負担軽減が期待される「半減期延長血液凝固因子製剤」※2の投与後モニタリングにおいても臨床的有用性が示されています。

シスメックスは、血友病Aの診断・治療補助として用いられる凝固第Ⅷ因子測定キット「レボヘムFVIII 合成基質」に続き、血友病Bの診断・治療補助として用いられる「レボヘムFIX 合成基質」を2018年12月に販売を開始しました。「レボヘムFIX 合成基質」は、合成基質法を測定原理とした血漿中の凝固第Ⅸ因子測定キットとしては国内で初の市場導入となります。本製品を通じた検査の質向上と患者さんの負担軽減に貢献します。

また、血管などに詰まったコレステロールを肝臓に運び回収するHDL(High-density Lipoprotein)機能の測定は、これまで手法が煩雑で測定値が一致しないことや検査日数を要するなど、検査結果の安定性・迅速性に課題がありました。シスメックスは、神戸大学大学院医学研究科「立証検査医学(シスメックス)分野」と共同研究を進め、HDL機能評価の新たな測定法を構築し、自社のプラットフォームである「研究用全自動高感度免疫測定装置 HI-1000」を用い自動化することにより、約30分でHDL機能の評価を可能としました。2018年12月から研究受託サービスとして、「HDL機能測定(研究用)」の提供を開始しており、このサービスを通じて、HDLを対象とした創薬研究や疫学研究など幅広い臨床エビデンスの蓄積と、動脈硬化関連疾患における新たな診断、治療法の創出に貢献します。

  1. APTT(Activated Partial Thromboplastin Time:活性化部分トロンボプラスチン時間)とは、内因系凝固因子の活性・異常を判定する際に用いられる検査項目。外因系凝固因子の活性・異常を判定するPT(プロトロンビン時間)とともに止血機能のスクリーニング検査に用いられる。
  2. 半減期延長血液凝固因子製剤とは、従来の血液凝固因子製剤よりも血漿中消失半減期が延長されており、3~5日間隔の定期的な投与や、患者の状態によっては週1回の投与も可能となり、従来よりも静脈注射の回数が減ることで患者さんへの負担軽減が期待される。

ITを活用した医療環境の改善

シスメックスは、新たなネットワークソリューション「Caresphere™(ケアスフィア)」の提供を2018年3月より開始しました。

「Caresphere™」は、IoTやクラウドを活用して、検査装置や臨床検査情報システムなどで管理しているさまざまな情報をリアルタイムに連携・解析する、シームレスかつ安全でグローバルに標準化されたプラットフォームです。本プラットフォーム上で、病院の検査室や検査センターにおける効率的な運営や品質管理の強化に役立つ情報が一元的に管理され、フレキシブルに情報を抽出・可視化することができ、業務効率化、品質強化、患者さんの満足度向上などを支援します。

また将来的には、地域医療に携わる施設やそれらの施設で従事する幅広い医療従事者の方向けアプリケーション・サービスの展開も予定しており、臨床検査および医療全体の生産性・品質向上に貢献することを目指しています。