シスメックス株式会社(本社:神戸市、代表取締役会長兼社長CEO:家次 恒 以下「シスメックス」)の社員 井上淳也は、平成30年春の褒章において、「フローサイトメトリー技術※1を用いた自動尿検査装置の開発」により紫綬褒章を受章することになりましたのでお知らせします。伝達式・拝謁は5月15日(火)に行われる予定です。
日本国憲法は、天皇の国事行為の一つとして、栄典の授与を定めています。栄典には、勲章および褒章があり、昭和30年に紫綬褒章が制定されました。紫綬褒章は、科学技術分野における発明・発見や、学術およびスポーツ・芸術文化分野における優れた業績を挙げた方に授与されます。
尿検査は、腎不全・腎臓がん・膀胱炎・膀胱がんなどの腎・尿路系疾患の早期発見や異常部位を推定するために行われます。尿検査には、臨床検査技師が顕微鏡を用いて尿中有形成分(赤血球・白血球・細菌など)を目視し、分類・計数を行う検査があります。目視検査は、手間や時間がかかるため、臨床検査技師にとって大きな負担となっていました。
このたびの受章は、フローサイトメトリー技術を用いた自動尿検査装置の開発により、医療の発展に貢献したことによるものです。
本業績である自動尿検査装置は、目視検査に代わり、フローサイトメトリー技術を用いて自動で尿中有形成分を分類・計数することで、従来約15分を要した1検体あたりの検査時間を約1分に短縮したことによる検査効率の飛躍的な向上、臨床検査技師の負担軽減および検査精度の向上を実現しました。
本自動尿検査装置は、世界中の医療施設に導入され、医療の効率化・質の向上に寄与しています。さらに、「血尿診断ガイドライン※2」などで尿中の有形成分の計数方法の一つとして採用され、医療の標準化にも貢献しています。
【受章の概要】
褒章の種類: | 紫綬褒章 | |
授与対象者: | クリニカルイノベーション本部 井上 淳也 (いのうえ じゅんや) | |
業績名: | フローサイトメトリー技術を用いた自動尿検査装置の開発 |
世界で初めてフローサイトメトリー技術を用いて実用化された
自動尿検査装置「全自動尿中有形成分分析装置 UF-100」 (1995年発売)
※1 | フローサイトメトリー技術: 微細な粒子を流体中に分散させ、その流体を細く流して、レーザー光を用いて個々の粒子を光学的に分析する手法のこと。主に細胞を個々に観察する際に用いられる。 |
||||
※2 |
血尿診断ガイドライン: |