シスメックス株式会社(本社:神戸市、代表取締役会長兼社長:家次 恒 以下「シスメックス」)は、このたび公益社団法人発明協会が主催する近畿地方発明表彰において、「兵庫県発明協会会長賞」1件と「発明奨励賞」3件を受賞いたしました。地方発明表彰は、優れた技術やデザインを生み出した技術者・研究開発者を顕彰するもので、大正10年より続く歴史ある表彰事業です。
【受賞発明の概要】
(1) 兵庫県発明協会会長賞
発明の名称:血液凝固分析装置(特許番号:特許第4829716号)
本発明は、生活習慣病に起因する心筋梗塞や脳梗塞などによる血液の血栓化傾向や血友病などの血液の出血傾向の検査に用いられる血液凝固分析装置に関するものです。
血液凝固測定では、一般に、1つの血漿検体に対して測定項目が5~6種類におよぶことがあります。これらを同時に検査測定するため、多数の検体を扱う臨床検査現場では、迅速かつ効率的に血液凝固測定が可能な血液凝固分析装置が求められていました。
本発明では、測定試料の保持部を複数配置し、複数の波長光を周期的に切り替えながら測定試料に照射し、各測定試料から受光した複数の波長光データの中から測定項目に応じた波長光データを選択することで、迅速な多項目測定を可能にしました。
このため、短時間で多数の検体の測定が可能となり、迅速かつ効率的に血液凝固測定を行うことができます。
本技術は血液凝固分析装置CS-5100、CS-2000i、 CS-2100iに採用されています。
(2) 発明奨励賞
発明の名称:モノクローナル抗体を用いたDダイマー測定試薬(特許番号:特許第4448754号)
本発明は、各種血栓や播種性血管内凝固症候群(DIC)を診断する上で有用なマーカーであるDダイマー測定試薬に関するものです。
従来、使用されているDダイマー測定試薬は、高分子もしくは低分子のいずれかのDD/E画分との反応性しかなく、Dダイマーを総合的に捕らえられていませんでした。
本発明は、高分子および低分子のDD/E画分に確実に反応するモノクローナル抗体を作製することで、Dダイマーを総合的に測定できるようになりました。
本技術はリアスオート®・Dダイマーネオに採用されています。
発明の名称:試薬の共通化を進めた試料分析装置と方法(特許番号:特許第4873969号)
本発明は、白血球数の測定と白血球を分類測定する試料分析装置に関するものです。
従来、白血球数の測定に用いる溶血剤と、白血球を分類する測定に用いる溶血剤は、それぞれ測定頻度が異なるため、別々の専用試薬として提供されていました。このため、装置運用コストがかさむとともに管理する試薬が増え、また測定頻度の少ない白血球分類測定用の溶血剤は使用期限までに使い切れないなどの問題がありました。
本発明では、白血球数の測定に用いる溶血剤と、白血球を分類する測定に用いる溶血剤とのどちらの測定においても使用される試薬を共通試薬、白血球を分類する測定のみに用いる染色液を専用試薬とし、測定時に白血球数を測定する第1測定モードか白血球数を測定し白血球を分類する第2測定モードかを選択できる試料分析装置としました。
これにより、白血球数と白血球の分類に用いる溶血剤を共通に利用することができ、装置運用コストの低減を実現しました。
本技術は多項目自動血球分析装置XS-1000i、XS-800i、XS-500iなどに採用されています。
発明の名称:自動顕微鏡及びこれを備える分析装置(特許番号:特許第4708143号)
本発明は、血液像自動分析装置に用いられる自動顕微鏡に関するものです。
従来の血液像自動分析装置の自動顕微鏡では、塗抹標本の焦点位置調整後に残留振動が発生し、振動が止まるまでは焦点を白血球に確実に合わせることができませんでした。
本発明では、塗抹標本とレンズの間に相対的な振動が生じていてもオートフォーカスを実現し、振動が止まってからオートフォーカスを行っていた従来の装置に比べ処理速度を大幅に向上させました。
本発明により、臨床診断での迅速性や検査精度の向上が図れました。
本技術は血液像自動分析装置HEG-Lに採用されています。
【「近畿地方発明表彰」受賞歴(過去5年分)】
以上