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尿中有形成分分析用試薬が平成22年度全国発明表彰「発明賞」を受賞

~世界で初めてフローサイトメトリー法を応用した尿中有形成分の自動定量分析を実用化~

 シスメックス株式会社(本社:神戸市、代表取締役社長:家次 恒)の尿中有形成分分析用試薬に関する技術が、社団法人発明協会主催の平成22年全国発明表彰「発明賞」を受賞いたしました。
 本発明は、当社の自動尿中有形成分分析装置UF-100シリーズ、UF-1000i などの試薬に使われており、世界で初めてフローサイトメトリー法※を応用した尿中有形成分の自動定量分析を実用化しました。これにより約1分で赤血球、白血球、細菌、上皮細胞、円柱を自動分類・定量測定できるようになり、尿検査の効率と精度が従来に比べて飛躍的に向上しました。

 従来の検査では、遠心分離にかけた尿の沈殿物を染色し、スライドガラスに滴下後、顕微鏡観察が行われていました。この作業は、操作が煩雑で検査手技に熟練を要することから、検査者の負担が大きく、定量性・精密性に欠ける課題がありました。また、尿中には測定対象物以外に様々な有形成分が含まれることがあります。なかでも採尿からの時間経過に伴って、カルシウム塩や尿酸塩などが尿中に固体状成分として分離して出てくる場合もあり、検査の自動化を達成するには、測定対象とその他物質との弁別や分類を行う必要がありました。

 本発明は、これらの課題を解決するための最適な試薬組成に関するものです。本発明を利用した試薬を当社の自動尿中有形成分分析装置を用いることにより、採取した尿をそのまま測定することができ、有形成分(赤血球、白血球、細菌、円柱、上皮細胞)を約1分で自動分類・定量測定できるようになりました。これによって、尿検査の効率と精度が従来に比べて飛躍的に向上しました。本発明の試薬は、当社の自動尿中有形成分分析装置UF-100シリーズ、UF-1000i などの試薬に使われており、世界で初めてフローサイトメトリー法を応用した尿中有形成分の自動定量分析を実用 化しました。
 

 日本泌尿器科学会、日本腎臓学会などの関連5学会ならびに厚生労働省設置の研究班で共同作成された「血尿診断ガイドライン」では、血尿判定における正確な赤血球数測定の意義が示されており、同ガイドラインに尿中赤血球数算定のための測定法の一つとしてフローサイトメトリー法が記載されました。
このように、本発明は、医療の効率化、質の向上に寄与するととも に、検査の標準化にも大いに貢献しています。
 

 今後も医療の発展、科学技術の向上に貢献できるよう、研究開発を進めていきます。



【説明図】


本発明の試薬を用いて自動分析装置で
尿中有形成分を検出分類したときの分画説明図(1)

尿中有形成分を検出分類したときの分画説明図(2)
(大型有形成分分画用チャンネル)

※フローサイトメトリー法: 微細な粒子を流体中に分散させ、その流体を細く流して、個々の粒子をレーザー光を用いて光学的に分析する手法のこと
 
 
【全国発明表彰】
 
 全国発明表彰は、大正8年に第1回帝国発明表彰として開催され、文部科学省、経済産業省、特許庁、日本経済団体連合会、日本商工会議所、日本弁理士会などの後援により発明者、および発明実施功績者、発明実施功労者、発明奨励功労者を表彰しています。発明の奨励育成を図り、日本の科学技術の向上と産業の振興に寄与する事を目的としている表彰制度です。
 主催の社団法人発明協会は、明治37年(1904年)の創立以来、発明奨励事業および工業所有権制度普及事業を通じて科学技術の進歩、発展に貢献している組織です。
 
 
 
以上
 
  • プレスリリースに掲載されている情報は、発表日現在の情報です。
    その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご了承ください。

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