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日本初、国際標準値による慢性骨髄性白血病治療効果モニタリングを可能とする検査用試薬の製造販売承認を取得

 シスメックス株式会社(本社:神戸市、代表取締役会長兼社長:家次 恒 以下「シスメックス」)は、このたび日本で初めて、国際標準値(International Scale以下、「IS」)にて報告する慢性骨髄性白血病(CML)治療効果モニタリング検査用試薬(販売名「ipsogen BCR-ABL1 Mbcr IS-MMR DX試薬」)の製造販売承認を取得しました。今後、日本国内での市場導入を進めていきます。

 慢性骨髄性白血病(以下、「CML」)は、血球のもととなる細胞の9番染色体と22番染色体が相互転座※1を起こし、それによって生成したBCR-ABL1 遺伝子が細胞の無制限な増殖を引き起こすことにより発症するものです。
 2011年の日本におけるCMLの患者数は約11,000人であり※2、増加傾向であると言われています。

 CMLの治療に関しては、2001年にBCR-ABL1タンパク質を標的とする分子標的治療薬※3が発売され、それ以降治療成績が格段に向上しました。現在は第2世代の分子標的治療薬が開発・市場導入され、さらに高い治療効果が実現しています。

 この抗がん剤の一種である分子標的治療薬を用いた治療の効果を正確にモニタリングするため、血液中に僅かに残った微小残存病変(Minimal Residual Disease:MRD)※4を測定できる検査が求められており、その検査方法としてBCR-ABL1 mRNA検査(遺伝子検査)が世界的に普及しています。

 

 遺伝子検査は他の検査と比べて測定法によるデータの差異が大きく、特にBCR-ABL1 mRNA検査については、その測定法や測定値の標準化を進める取り組みとしてISが定められ、ISによるモニタリングが各国のガイドラインで推奨されています。日本においても、日本血液学会が作成する造血器腫瘍診療ガイドライン(2013年版)にて、CML の治療効果をモニタリングする際にはISによるBCR-ABL1 mRNA検査の結果を用いるように推奨されました。

 しかし、国内には ISにて報告できるBCR-ABL1 mRNA検査試薬として薬事承認を受けたものはこれまで存在せず、ガイドラインに基づく適切な治療のため、新たな検査試薬の登場が待ち望まれてきました。

 

 このたび、当社はQIAGEN Marseille社からBCR-ABL1 mRNAの定量RT-PCR試薬※5を導入し、国内における臨床性能試験を行い、日本で初めてISにて報告できるCML治療効果モニタリング検査用試薬(販売名:「ipsogen BCR-ABL1 Mbcr IS-MMR DX試薬」)の製造販売承認を取得しました。

 これにより、ガイドラインに基づいた治療効果モニタリングが可能となり、より正確な診断によるCML患者のQOLの向上と今後の治療の発展が期待されます。

 

 シスメックスは、ヘマトロジー分野におけるスクリーニング検査のみならず、治療・モニタリングにおいても、クリニカルバリューを提供し、患者さんのQOLの向上と医療の標準化と発展に努めてまいります。

【新製品の概要】
販売名:

ipsogen BCR-ABL1 Mbcr IS-MMR DX試薬 

発売時期: 2014年9月初旬(予定)
対象市場: 日本
対象施設:  臨床検査センター、大学病院、基幹病院、他 
保険点数:  未定 
 

 

【注釈】
※1 転座:

染色体異常の一つ。染色体の一部が切断され、他に付着するなどして位置を変えたもの。

※2 出典: 厚生労働省 平成23年患者調査
※3 分子標的治療薬: 特定の分子(タンパク質)を標的として創製された治療薬のこと。その多くはがんの分野で開発・上市されており、腫瘍化の原因となるタンパク質(今回の場合はBCR-ABL1タンパク質)の活性を制御する目的で使用される。
※4 微小残存病変: 治療開始後に寛解状態となっても体内にわずかに残存している腫瘍細胞のこと。 
※5 定量RT-PCR試薬: 特定遺伝子の発現量を高感度に定量するための試薬。定量PCR装置とともに用いられる。 
 

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