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平成22年度近畿地方発明表彰を受賞

  シスメックス株式会社(本社:神戸市、代表取締役社長:家次 恒)は、このたび社団法人発明協会が主催する近畿地方発明表彰において、「特許庁長官奨励賞」1件と「発明奨励賞」3件を受賞いたしました。地方発明表彰は、優れた技術やデザインを生み出した技術者・研究開発者を顕彰するもので、大正10年より続き、本年で89年を迎える歴史ある表彰事業です。なお、当社は、12年連続で近畿地方発明表彰を受賞しています。

 【受賞発明の概要】

 (1) 特許庁長官奨励賞
 

受賞発明:白血球分類計数方法および白血球分類計数試薬キット(特許第4248017号)
  本発明は、全自動血球計数装置であるXEシリーズ、XTシリーズ、XSシリーズなどに用いる試薬キットおよびこの試薬キットを用いた白血球の分類計数方法に関するものです。
  リンパ球、単球、好中球、好酸球、好塩基球の5つに分類された正常白血球の比率および白血球数は、様々な疾患によって変動することがあります。病気を診断する上で、異常白血球を含む白血球の正確な分類および計数は、非常に重要です。しかし、これまでの測定方法では、正常白血球と異常細胞の判別が難しく、同時に分類と計数の結果を得ることが困難でした。
  本発明では、赤血球を溶解し、測定の対象となる正常または異常細胞を染色に好適な状態にする溶血剤と、細胞に含まれるRNAと結合することにより著しく蛍光強度が増す性質を有する色素化合物を開発しました。この2つを使用することにより、試薬と血液試料を一度混ぜるだけで、正常白血球5分類を計数すると同時に、高精度に異常白血球や幼若白血球などの異常細胞を分類計数することができます。また、本発明により、いままで、困難であった幼若顆粒球計数の自動化にはじめて成功しました。
  これにより、1回の測定で正常と異常を含む多くの白血球の測定情報を提供することができ、本発明は、医療の効率化や血液疾患の早期発見に貢献しています。
 

  また、本件は、実施化に顕著な功績があると認められる法人の代表者へ贈呈される「実施功績賞」も受賞しました。

 

本発明の試薬を用いて自動血球分析装置で
健常者血液を測定した時の分画説明図(1)

本発明の試薬を用いて自動血球分析装置で
患者血液を測定した時の分画説明図(2)

 

(2)発明奨励賞
 

受賞発明:免疫クロマトグラフィー検査用検体前処理液、免疫クロマトグラフィー検査方法および免疫クロマトグラフィー検査キット(特許第4199606号)
 本発明は、免疫クロマトグラフィーを利用した検査を正確に行うための前処理方法とその方法を用いた検査キットに関するものです。
   インフルエンザは、小児がかかると脳症、高齢者がかかると肺炎などを併発し、重篤な症状を引き起こすことがあります。的確に診断するために、迅速な検査結果の提供が望まれています。
   免疫クロマトグラフィーを利用した検査は、採取した検体を、目的とする抗体を含む検査器具に染み込ませるだけの簡単な操作で、結果を得ることができます。特別な機器などを必要としないため、臨床の現場で迅速に結果がわかり、インフルエンザなどの検査に非常に有用です。
   しかしながら、インフルエンザの検査は、通常鼻汁や鼻咽頭ぬぐい液を検体として使用します。これらに存在する高粘性物質であるムチンは、生体から剥がれ落ちた上皮付着細胞を凝集させ検査器具の多孔質膜の孔を塞いでしまうため、検体の浸透が途中で止まったり、非特異的な反応を起こすなど正確な検査結果を得ることができませんでした。
   そこで、本発明では、生体からの検体を非イオン性界面活性剤および0.3mol/L以上のアルカリ金属イオンを含む前処理液で処理することにより、鼻咽頭検体を用いた検査の不具合を解消し、簡便かつ正確なインフルエンザの検査を実現しました。本発明の技術は、免疫クロマトグラフィー検査キットポクテムシリーズに搭載されています。


受賞発明:液体吸引装置(特許第3771380号)
 本発明は、容器開口を塞いだキャップを貫通することができる液体吸引管によって容器内の液体を吸引する液体吸引装置に関するものです。液体吸引装置は、試料分析装置などで液体試料の採取用に利用できます。キャップで密閉された密閉容器に対して液体吸引管を上下移動させるには、大きな力が必要となります。一方、キャップのない開放容器に対して大きな力を加えると、機構上の無駄を生じさせ、機敏性が損なわれるだけでなく、容器の上下位置によっては、吸引管が容器の底に当たり、吸引管を傷めてしまう恐れがあります。
   本発明の液体吸引装置は、液体吸引管上下移動の際にのみ補助機構を用いることにより、密閉容器に対しても開放容器に対しても、液体吸引管に適切な力を加えることができます。これにより、密閉容器及び開放容器の両方からの液体試料の吸引を実現しました。本発明の技術は、血液凝固分析装置CA-7000、CA-1500に搭載されています。


受賞発明:血液凝固測定装置(特許第3722570号)
 本発明は、血液凝固測定装置の血液試料(検体)に試薬を添加してから、検体が凝固するまでの時間測定に関するものです。
   一般に血液の凝固反応は複雑な過程を経るため、検体によっては、反応の途中で一時的に反応が停止(飽和)したかのような不安定な動きを示すことがあります。そこで、本発明では、散乱光量の変化の停止が検出された時に、さらに散乱光量が増加しないかを所定時間監視して、最終的な飽和値を測定します。本発明の技術は、CAシリーズに搭載されています。 


【「発明表彰」受賞歴(過去5年分)】
 

 

以上

  • プレスリリースに掲載されている情報は、発表日現在の情報です。
    その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご了承ください。

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